比較的通信エリアが狭い範囲のネットワークを指す用語に「LAN」と「PAN」がある。関連する無線LAN、Wi-Fi、VLANなども含めて、各ネットワークの違いを解説する。
一口にネットワークといってもその種類はさまざまだ。その規模や対象の範囲、設計などの要素によってネットワークの種類は分かれる。
ネットワークの設計は、その規模や目的によって決まる。ネットワーク担当者は、自社が選んだネットワークの構成を監視、管理、保守するために、さまざまな種類のネットワークを理解しておく必要がある。「LAN」(ローカルエリアネットワーク)や「VLAN」(仮想LAN)、「PAN」(パーソナルエリアネットワーク)について解説する。
LANにおける「ローカル」とは特定の建物や敷地の内側を指しており、LANはそのエリアで利用するネットワークだ。一般的には家庭やオフィスの範囲内で、PCやスマートフォンなどが接続する。
PANは個人が利用できる約10メートル以内のネットワークを指すのに対して、LANはより広い範囲(建物内やオフィス内)を指す。そのため、LANの範囲としては自宅内の数メートルから、大規模オフィスであれば数百メートルにまで及ぶことがある。
LANには有線と無線の選択肢がある。有線LANはイーサネットケーブルなどの物理ケーブルとスイッチを使用する。無線LANは無線ルーターや無線LANアクセスポイント(AP)などのデバイスを使用して、電波を介してデバイスを相互接続する。
有線LANは物理的なケーブルを用いるため、電波を利用する無線LANに比べて、外部からの不正アクセスを受けにくい。ただし無線LANを使用する場合でも、ネットワーク担当者が適切なセキュリティプロトコルを使用することで、安全性を高めることができる。
LANの主なユースケースは以下の通りだ。
無線LANと「Wi-Fi」は混同されやすいが、正確にはWi-Fiは無線LANの一種類に過ぎない。Wi-Fiは標準化団体IEEE(米電気電子技術者協会)が定める無線LAN規格「IEEE802.11」を基に、業界団体Wi-Fi Allianceが定めた製品認証プログラムおよびその仕様を指す。
物理的なLANを仮想的に分割した論理的なネットワークを「VLAN」(仮想LAN)と呼ぶ。ネットワーク担当者がVLANを使うことで、物理的にネットワーク機器を増やすことなく、独立したネットワークを構成できる。ネットワーク担当者は各VLANに異なる設定を適用できるため、組織や部門ごとにネットワークを分けて運用できる。
VLANによる主なメリットは次の通りだ。
PANはエンドユーザーの周囲にある機器同士を接続して構築したネットワークだ。明確な基準はないが、約10メートル以内の接続を指すことがある。「USB」(Universal Serial Bus、ユニバーサルシリアルバス)による有線接続や、近距離無線通信規格「Bluetooth」による無線接続が該当する。
PANの特徴は以下の通り。
PANの主なユースケースは次の通りだ。
次回は「CAN」(キャンパスネットワーク)と「MAN」(メトロポリタンネットワーク)を紹介する。
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