いまさら聞けない「LAN」「無線LAN」「Wi-Fi」「VLAN」「PAN」の違いネットワークの種類を学ぶ【第1回】

比較的通信エリアが狭い範囲のネットワークを指す用語に「LAN」と「PAN」がある。関連する無線LAN、Wi-Fi、VLANなども含めて、各ネットワークの違いを解説する。

2024年11月07日 08時00分 公開
[Deanna DarahTechTarget]

 一口にネットワークといってもその種類はさまざまだ。その規模や対象の範囲、設計などの要素によってネットワークの種類は分かれる。

 ネットワークの設計は、その規模や目的によって決まる。ネットワーク担当者は、自社が選んだネットワークの構成を監視、管理、保守するために、さまざまな種類のネットワークを理解しておく必要がある。「LAN」(ローカルエリアネットワーク)や「VLAN」(仮想LAN)、「PAN」(パーソナルエリアネットワーク)について解説する。

身近にあるネットワーク「LAN」や「PAN」の特徴

 LANにおける「ローカル」とは特定の建物や敷地の内側を指しており、LANはそのエリアで利用するネットワークだ。一般的には家庭やオフィスの範囲内で、PCやスマートフォンなどが接続する。

 PANは個人が利用できる約10メートル以内のネットワークを指すのに対して、LANはより広い範囲(建物内やオフィス内)を指す。そのため、LANの範囲としては自宅内の数メートルから、大規模オフィスであれば数百メートルにまで及ぶことがある。

 LANには有線と無線の選択肢がある。有線LANはイーサネットケーブルなどの物理ケーブルとスイッチを使用する。無線LANは無線ルーターや無線LANアクセスポイント(AP)などのデバイスを使用して、電波を介してデバイスを相互接続する。

 有線LANは物理的なケーブルを用いるため、電波を利用する無線LANに比べて、外部からの不正アクセスを受けにくい。ただし無線LANを使用する場合でも、ネットワーク担当者が適切なセキュリティプロトコルを使用することで、安全性を高めることができる。

 LANの主なユースケースは以下の通りだ。

  • 家庭やオフィスでのネットワーク
    • 個人の家や企業オフィスのLAN内のユーザーが自身のデバイスを接続し、各デバイス間でデータを転送できる
  • データ共有
    • 企業では、LANを使って社員同士が情報を共有し、業務を効率化している
    • 例えば、社内のファイルサーバにアクセスして、必要な資料をダウンロードしたり、共同で資料を作成したりできる

「無線LAN」と「Wi-Fi」の違い

 無線LANと「Wi-Fi」は混同されやすいが、正確にはWi-Fiは無線LANの一種類に過ぎない。Wi-Fiは標準化団体IEEE(米電気電子技術者協会)が定める無線LAN規格「IEEE802.11」を基に、業界団体Wi-Fi Allianceが定めた製品認証プログラムおよびその仕様を指す。

「VLAN」(仮想LAN)

 物理的なLANを仮想的に分割した論理的なネットワークを「VLAN」(仮想LAN)と呼ぶ。ネットワーク担当者がVLANを使うことで、物理的にネットワーク機器を増やすことなく、独立したネットワークを構成できる。ネットワーク担当者は各VLANに異なる設定を適用できるため、組織や部門ごとにネットワークを分けて運用できる。

 VLANによる主なメリットは次の通りだ。

  • VLANごとに帯域幅を制限することで、特定のVLANによる過度な帯域幅使用の影響を抑えることができるため、ネットワーク全体での混雑が発生しにくい
  • ネットワークを論理的に分割することで、管理対象を明確にし、ネットワークのトラブルシューティングを容易にする
  • 特定のVLANが不正アクセスされても、他のVLANへの影響を抑えることができる

PAN(パーソナルエリアネットワーク)

 PANはエンドユーザーの周囲にある機器同士を接続して構築したネットワークだ。明確な基準はないが、約10メートル以内の接続を指すことがある。「USB」(Universal Serial Bus、ユニバーサルシリアルバス)による有線接続や、近距離無線通信規格「Bluetooth」による無線接続が該当する。

 PANの特徴は以下の通り。

  • 可搬性
    • PANで接続するほとんどのデバイスは小型で簡単に持ち運びできる
  • 信頼性
    • 範囲が狭いため、電波干渉などが起こりにくい
  • セキュリティ
    • 身近な範囲で使用するため、物理的なセキュリティ対策が比較的しやすい
    • PAN内のデバイスはルーターなどのゲートウェイ機器を介してインターネットなど外部に接続することがあるため、ゲートウェイ機器のセキュリティ機能によって安全性が左右される

 PANの主なユースケースは次の通りだ。

  • 個人用ネットワーク
    • 身近なデバイスを接続し、個人専用のネットワークを構築できる
    • ユーザーが実際に身に着けているウェアラブルデバイス同士を相互に接続する「ボディーエリアネットワーク」がある
  • ホームネットワーク
    • PCやプリンタなど、家庭内で使用するワイヤレスデバイスを接続する
  • モノのインターネット(IoT)
    • 医療用ウェアラブルデバイスや家具家電をインターネットに接続するスマートホーム用のデバイスなどを相互に接続し、IoTシステムを構築して最適化できる

 次回は「CAN」(キャンパスネットワーク)と「MAN」(メトロポリタンネットワーク)を紹介する。

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