米労働省労働統計局は、2024年3月までの米雇用者数の増加分を大幅に下方修正した。この下方修正には、IT業界の雇用が大きく影響している。
米国労働省労働統計局(BLS:Bureau of Labor Statistics)は2024年8月、2024年版の雇用統計(CES:Current Employment Statistics)の推定値を公開した。この発表でBLSは、2023年3月から2024年3月までの、IT分野を含む非農業部門の雇用者数を81万8000人下方修正した。次に示す通り、この下方修正にはIT業界の雇用に関わる2つの分野が影響した。
今回の下方修正に影響を及ぼした1つ目の分野は、以下の業種を含む「情報産業」(Information)だ。同分野では雇用者数が2.3%(6万8000人)減少する。
2つ目は以下の業種を含む「専門・ビジネスサービス」(Professional and Business Services)だ。同分野では、雇用者数が1.6%(35万8000人)減少する。
今回の下方修正値の半分以上を「情報産業」「専門・ビジネスサービス」が占める。両分野にはITシステムの設計者やデータサイエンティストといったIT専門職が含まれる。
IT認定資格の業界団体CompTIAで最高研究責任者(Chief Research Officer)を務めるティム・ハーバート氏は、「下方修正はIT業界の雇用に影響を与える可能性がある」と指摘する。ただしハーバート氏によると、営業やマーケティングといったITとは直接関係がない職種の数値が下方修正後の数値に含まれている可能性もある。
BLSによる2024年8月の発表は、2023年3月から2024年3月の雇用統計値を調整するものだ。そのため下方修正の数値に以下の情報は含まれていない。
労働市場調査会社Janco AssociatesでCEOを務めるビクター・ジャヌライティス氏によると、IT専門職の失業率は6%程度かそれ以上だ。全職種における平均失業率は4.3%程度だとジャヌライティス氏は推測する。「AI技術分野での職務経験がなければ、IT専門職として採用されるのは厳しくなる見通しだ」(同氏)
連邦政府は、米国の郡別の推定値も公開した。この数値はIT雇用市場の実態を探る手掛かりになる可能性がある。
例えば、2023年3月から2024年3月の期間に、カリフォルニア州サンフランシスコ市では全職種の全体の雇用が減少している。それにもかかわらず、同地域の週平均賃金は9.2%増加した。シリコンバレーの一部を成す同州サンタクララ郡に絞ると、週平均賃金は14.6%増加している。
「IT専門職としての経験が浅い労働者がシリコンバレーを有するベイエリアを去っている。残っているのは、ベイエリアで生活するほどの余裕がある高度なスキルを持ったIT専門職人材だ」。ジャヌライティス氏はそう分析する。
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