情報を伝達する手段としてネットワークとテレコミュニケーション(テレコム)は発展してきた。両者は異なる概念だが、共通点があり混同しやすい。違いを解説する。
情報を送受信する技術や考え方として「ネットワーク」と「テレコミュニケーション」(省略形で「テレコム」とも)がある。両者は別の概念だが、技術的に重なるところがあるため、混同されやすい。両者の詳しい違いを見ていこう。
ネットワークはコンピュータネットワークとも呼ばれる。ノード(ネットワークに接続しているデータ転送機能を持つデバイス)間でデータを転送する手法や、複数のノードが接続している状態を指す。ノードの例としてはPCやスマートフォン、ルーター、ネットワークスイッチ(以下、スイッチ)などがある。
企業が利用する主なネットワークの種類としては、
などがある。
企業がネットワーク内で利用する主な機器としては、
などがある。
ネットワークで送受信できるデータ量には限りがある。パケット(ネットワークを流れる分割されたデータ)が転送中に失われて目的地に届かないこともある。企業はQoS制御技術によって、ネットワークの混雑時でも重要なアプリケーションを優先的に通信させたり、パケットが失われる可能性を低下させたりできる。
テレコミュニケーション(telecommunication)は「遠い」を意味するギリシャ語の接頭辞「tele」と、「共有する」を意味するラテン語「communicare」を組み合わせたものが由来だと一般的に言われている。
テレコミュニケーションは電子的な手段によって情報を交換することを指す。音声、テキスト、画像、データなど、さまざまな形式の情報を送受信する技術やインフラを含む広義な言葉でもある。
例えば有線電話や携帯電話、マイクロ波通信、光ファイバー、衛星、ラジオ、テレビ、インターネット、電信などがテレコミュニケーションに該当する。
テレコミュニケーションは、正確な定義としては音声の送受信にとどまらない技術や考え方だ。しかし、一般的に1876年にグラハム・ベルが発明した電話からテレコミュニケーションの歴史が始まったとされていることもあり、テレコミュニケーションは音声を重視しているという見方がある。現代では音声に加えて、チャットやWeb会議などによるコラボレーション(複数人での作業やプロジェクトを円滑に進めること)がテレコミュニケーションの重要な要素だと広く考えられるようになってきた。
音声は従来、音声波形をそのまま電気信号に変換するアナログ形式で送受信されていた。それからIPネットワークで音声を送受信する「VoIP」(Voice over IP)技術の進歩により、音声はデータに変換してパケットとして送受信するデジタル形式で送受信されるようになった。そうなるとデータ送受信を目的とするネットワークでも音声を送受信できるため、テレコミュニケーション用のインフラとネットワークは統合されるようになった。
テレコミュニケーション用のインフラがネットワークに統合されるまで、企業や集合住宅は、単一のネットワーククローゼット(ネットワーク機器やケーブルを一括収納する小部屋)にデータ送受信用のネットワーク機器と音声通信用の機器を収納していたことがあった。このことが、テレコミュニケーションとネットワークの混同を招いた可能性がある。後にこれらの通信機器や回線を収納する部屋は、MDF(Main Distribution Frame)室と呼ばれるようになった。
テレコミュニケーションが重視するコラボレーションは、一般的にネットワークにリアルタイム性を要求するために、他のサービスに比べてデータの送受信量が多く、優先順位も高くなる。企業はネットワークにQoS制御技術を用いることで、音声や動画のパケット遅延を削減して、エンドユーザーの使い勝手を改善できる可能性がある。
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