PDFファイルを「Chrome」で直接操作できるようにするのが、Adobeが提供するChrome向けの「Adobe Acrobat」拡張機能だ。専門家をうならせた、この拡張機能の“すごさ”とは。
AdobeはPDFファイル編集ソフトウェア「Adobe Acrobat」の機能を、GoogleのWebブラウザ「Chrome」で利用可能にする拡張機能(以下、Chrome向けAcrobat拡張機能)を提供している。PDFファイルをChromeで読めるPDFリーダーとしての機能だけではなく、PDFファイルのテキストや画像の編集機能も備える。具体的に何ができるのか。
Chrome向けAcrobat拡張機能を使うと、エンドユーザーはChromeの画面でPDFファイルにコメントを追加したり、テキストをハイライト表示したりできる。フォーム(入力欄)への入力や署名の追加も可能だ。Chrome向けAcrobat拡張機能は無償で利用できるものの、一部機能には回数制限や期間制限がある。全ての機能を制限なく利用するには、Acrobatの有償のサブスクリプション契約が必要だ。
Acrobatのサブスクリプションを契約すると、例えば下記の機能が回数や期間の制限なく利用できるようになる。
テキストや画像の編集機能では、テキストの編集はもちろん、画像の切り取り、反転、置き換え、サイズ変更が可能だ。これらの機能は全てChromeで操作でき、アプリケーションを切り替える必要はない。
「アプリケーションの切り替えを減らしてくれる機能は、ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)を改善し、生産性を向上させる」と、調査会社IDCのアナリストであるホリー・ムスコリーノ氏は評価する。ムスコリーノ氏によると、企業の管理職を対象とした同社の調査では、従業員の効率を阻害する主な要因に「アプリケーションの切り替えに掛かる時間」を挙げる回答者が目立っていた。
ムスコリーノ氏はChrome向けAcrobat拡張機能に対して「オンライン共同作業の効率化につながる」と期待を寄せる。Webブラウザを使ってイントラネットや社内ポータルサイトを閲覧し、PDFファイルを開くときに、アプリケーションを切り替えずに済むならば、PDFファイルに変更を加える作業時間の節約ができるからだ。
後編はPDF形式を取り巻く市場の動向を解説する。
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