テレワーク中でもWeb会議ツールを使えば、従業員間で容易に会話をすることはできる。だがこうしたWeb会議ツールこそが、むしろ従業員の孤独感や孤立を深める可能性があると専門家は指摘する。それはなぜなのか。
孤独感や孤立状態を解消するためのITが、逆に従業員を苦しめることもある。それはどういうことなのか。本稿は従業員の孤独感や孤立状態を解消するための8つの方法のうち、7つ目と8つ目を紹介する。
企業の経営幹部は、
を調査すべきだとダーシー・グラッタダロ氏は話す。グラッタダロ氏は、米国精神医学会財団(APA Foundation)のワークプレース・メンタルヘルス・センターでディレクターを務める。
例えばオフィスワーカーとテレワーカーが混在する「ハイブリッド会議」では、テレワーカーは「全員の顔がよく見えない」「声が聞こえない」と困っている可能性がある。オフィスワーカーが、会議中に意図せずテレワーカーを無視したことが、従業員のさらなる孤独や孤立につながる恐れもある。
グラッタダロ氏は「従業員の状況を調査することは、経営幹部が『仕事を通した従業員の体験を気に掛けている』と示すことにもなる」と話す。「経営幹部が、従業員自身と従業員の意見に価値を置いていることを示すべきだ」と同氏は強調する。
従業員にとって、定期的な「IT断ち」が必要なことを経営幹部は理解する必要がある。Web会議を増やすことが従業員の孤独や孤立の解決にはなるとは限らない。
グラッタダロ氏によると、従業員がリフレッシュできるように、Web会議間に15分の余裕を設けるようにする動きが、企業の間で広がりつつある。毎週金曜日はWeb会議ツール「Zoom」を一切使わないように決めている会社もあるという。
Web会議の時間に関する規則を設けることも、疲労軽減に役立つ可能性がある。人事に関する調査会社Workplace Intelligenceのマネージングパートナー、ダン・シャウベル氏によると、従業員がWeb会議に応じなければならない時間帯と休憩できる時間帯をあらかじめ決めている企業がある。例えば午前10時から午後3時まではZoomのWeb会議に参加しなければならないが、その他の時間帯はZoomからログアウトしてよいと、会社の方針で決めておく。
「従業員は皆、本当に懸命に働いており、テレワークだといっそう熱心になることが分かっている」とシャウベル氏は指摘する。「『生活に悪影響が出ないように線引きをして助ける必要がある』と、経営幹部が口に出すことが大切だ」(同氏)。経営幹部はこうした方針を立てた上で、取り組みが効果を発揮しているかどうかの確認のために従業員に調査を実施することが望ましい。
従業員の孤立と孤独の問題について、経営幹部は幾つかの規則を作って終わりにするのではなく、継続的に取り組まなければならない。こうした問題は「一度の議論では効果がない」とグラッタダロ氏は語る。経営幹部は従業員のメンタルヘルスの問題を繰り返し取り上げ、従業員にとって最善で利益のある方法を検討し続ける必要がある。
経営幹部は「思いやりのある文化を企業内に確立し、さまざまな方法で問題に対処していくことで、本当に従業員を大切にしていることを伝えることができる」とグラッタダロ氏は語る。「会社にとどまりたいと思わせる思いやりの文化を構築すべきだ。特に成績優秀な人材が、真っ先に会社を辞めてしまうのだから」(同氏)
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