テレワークの継続を希望する従業員の声に応えたい――。こう考える企業がいくら努力をしても、状況が変化すれば継続が難しくなる可能性がある。テレワーク継続を阻むリスクとは。
一部の専門家は、テレワークの継続が招くリスクに着目している。再就職支援会社Challenger, Gray & Christmasでシニアバイスプレジデントを務めるアンドルー・チャレンジャー氏は、経営者が従業員にオフィス復帰を求める理由を「テレワークの実施と離職には相関関係があると見ているからだ」と指摘する。
自宅で一人きりで仕事をしていて、「自分がそこの一員であると強く感じられるチーム」の同僚がそばにいない――。そうした従業員は、新しい、別の仕事のオファーを受け入れる可能性が「非常に高くなる」とチャレンジャー氏は考える。
テレワークを継続するかどうかに関しては、まだ従業員に主導権がある。「米国では、深刻な人手不足のおかげで従業員の力は強い。彼らは出社の再開を望んでいない」(チャレンジャー氏)
状況は変わりつつある。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が金利を引き上げ、経済が冷え込めば、「従業員の交渉力はこれまでと同じではなくなる」とチャレンジャー氏は説明する。そうなれば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)後の世界における「テレワークとオフィスワークの割合」は逆転する可能性がある。
テレワークを批判する声が上がる一方で、テレワークのメリットを指摘する専門家もいる。メリットの一つは「他の方法では得難い人材を確保できること」だ。
「テレワークを許可しなくてもデメリットはない、と考えるのは近視眼的だ」と、ITワーカーの採用支援サービスを提供するRevelo Talentの共同創業者、ルーカス・メンデス氏は語る。「ソフトウェアエンジニアは採用が難しくなりつつある。そして彼らには交渉力があり、テレワークを好んでいる」(メンデス氏)
第5回は、ITワーカーがテレワークを好む理由について、採用支援サービスベンダーの見解を紹介する。
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