TeslaのCEOイーロン・マスク氏は従業員に「テレワーク終了」を宣言した。テレワークがはらむリスクを浮き彫りにする出来事だが、この裏には「別の意図がある」と専門家は考察する。
2022年5月、電気自動車(EV)メーカーTesla(テスラ)のCEOであるイーロン・マスク氏は、従業員に向けてテレワーク終了を宣言した。この宣言はテレワークを隠れみのに、“ある施策”を始めるための口実だった可能性がある。
「Teslaの正社員を10%減らしたいとマスク氏は考えている」。通信社Reutersは2022年6月初旬、リークされた社内メールを入手してこのように報じた。報道によると、マスク氏は経営幹部宛てのメールで、今後の景気動向を「非常に憂慮している」と述べている。米TechTargetはこの件に関して同社にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
マスク氏の言動は、「テレワーカーはレイオフ(一時解雇)されやすい。景気低迷時はなおさらそうではないか」という懸念を裏付ける可能性がある。Teslaの従業員は、マスク氏にそのリスクを思い知らされた格好だ。2022年5月末(米国時間)にマスク氏は、短文投稿サイト「Twitter」に、仕事のためにオフィスに出社することを時代遅れだと考える人に対して「そうした考えの人は、どこかで働くふりでもしていればよい」といった趣旨のツイート(投稿)をしたからだ。
この“テレワーク終了宣言”は「テレワーク自体の意義を問うというよりも、むしろ『従業員数を削減したい』という別の動機が隠れている可能性がある」と一部の専門家は指摘する。
「企業がこうした策を講じるのは、今に始まったことではない」と、コンサルティング会社Global Workplace Analyticsのプレジデント、ケート・リスター氏は語る。リスター氏が引き合いに出すIBMは2017年、数千人のテレワーカーに対して「特定の都市への転勤に応じるか、さもなければ退職しなければならない」と言い渡したと報じられている。「IBMの施策は、より年齢が高く、より上位の職階で、より高給をもらっている従業員を追い出す方便ではないかという疑いが強かった」(同氏)
第2回は、テレワークが従業員にもたらすリスクと、今後起こり得る「企業と従業員の力関係の変化」を考察する。
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