第2回「毎年やっても意味がない? 『セキュリティ研修』を無駄にする“あの慣習”」は、セキュリティ意識向上研修の効果が出にくい理由を解説した。第3回となる本稿は、こうした研修を有益なものにするためにできることを解説する。
第2回で解説した通り、セキュリティ意識向上研修には効果が出にくい理由がある。だがこうした研修はなくならない。
「セキュリティ意識向上研修は、セキュリティチームが企業で実施する最も対外的な活動だ」と、調査会社Forrester Researchのプリンシパルアナリストであるジナン・バッジ氏は話す。「“フードをかぶった人”や、施錠や鍵といったセキュリティの退屈なイメージを定着させてしまうと、セキュリティから余計に人々を遠ざけることになる」(バッジ氏)
セキュリティ意識向上研修を有益なものにし、研修が終わった後も従業員の意識に内容が残るようにするにはどうすればよいのか。そのためには「コンプライアンスのためだけの研修」をやめて、人間の行動や企業の文化に注目することが重要だ。
「当社のクライアントには、活動の指標ではなく行動結果の指標を測定するよう勧めている」と調査会社Gartnerのディレクターアナリスト、ウィリアム・キャンドリック氏は言う。研修の実施回数を指標にすると従業員の理解度を測定できない。そのため、例えばフィッシング詐欺攻撃のシミュレーション研修であれば、「詐欺メールに記載されたURLのクリック率」や「詐欺メールの報告率」といった行動結果を指標にするとよい。こうした指標は、セキュリティ意識向上プログラムが成功しているかどうか、研修に改善点はあるかどうかといった洞察を与えてくれる。
こうした行動結果の指標から得た洞察は、「人的リスク定量化モデル」の指針になる。人的リスク定量化モデルとは、セキュリティチームが従業員の知識と行動のギャップを特定し、企業のセキュリティに影響を及ぼす特定の行動を割り出し、その潜在的リスクを計算するためのプロセスだ。最終的に企業は、「従業員がパスワードマネジャーを使用しない」「データ損失防止ソフトウェアを無視する」といったリスクの高い行動を減らすことでセキュリティリスクを軽減できる。
第4回は、人的リスク定量化モデルの取り入れ方を紹介する。
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