テレワークで従業員に生じた孤独感や孤立状態を、どう解消するか。そのための手段の一つが「EAP」の活用だ。どのように活用すればよいのか。
従業員が孤独感と孤立状態に対処できるようにし、こうした感情を抱かせる状況を防ぐために、人事責任者をはじめとする経営幹部は何をすべきなのか。実施できる主な取り組みは8つある。まずは1つ目を紹介しよう。
企業の中には、福利厚生としてウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に関するプログラムを提供しているところがある。一般的なウェルビーイングプログラムにはメンタルヘルスに関する内容が含まれる。だが企業がこのようなプログラムを用意していても、それを利用できることを従業員が知らない場合がある。経営幹部は、プログラムの存在を繰り返し従業員に伝えるべきだ。
ウェルビーイングプログラムをはじめとする「従業員支援プログラム」(EAP:Employee Assistance Program)を従業員に活用してもらうためには、経営幹部は何をすればよいのか。「EAPの存在を伝えるだけではなく、受講したことで得られるメリットを伝えることが極めて重要だ」と、米国精神医学会財団(APA Foundation)のワークプレース・メンタルヘルス・センターでディレクターを務めるダーシー・グラッタダロ氏は話す。経営幹部は、利用できるEAPとそのメリットについて、従業員に定期的に情報を提供しよう。
経営幹部は、EAPベンダーのリソースを積極的に活用するとよい。例えばEAPやデジタルヘルスケアサービスのベンダーを招き、従業員の孤独と孤立に関する講義をしてもらうことをグラッタダロ氏は提案する。「テレワークの悩みを抱えている従業員の見つけ方」といったテーマで、マネジャー向けのトレーニングを実施してもらうのもよい。
「従業員の働き方を見ていれば、悩みの兆候が分かることがある。それは見た目や振る舞い、雰囲気、やりとりの内容の変化から伝わるケースが多い」とグラッタダロ氏は指摘する。こうした兆候がテレワークのやりとりの中でどのように現れるのかを把握すること、そして従業員の困りごとを改善するためのトレーニングがあると認識していることが、経営幹部にとって「本当に大切だ」と同氏は強調する。
経営幹部は、EAPベンダーが従業員のニーズに適切に対処しているのかどうかを確認する必要がある。グラッタダロ氏は、EAPの利用データを四半期ごとに提出するようベンダーに要求すべきだと主張する。その際、相談窓口となるフリーダイヤルの利用回数やWebサイトの訪問回数だけではなく、次のような数字にも着目することを同氏は推奨する。
経営幹部にできることはまだある。「EAPベンダーと従業員の間の相談内容は完全に秘密で、外に漏れることはない」と従業員に伝えることだ。グラッタダロ氏は、こうした秘匿性を「従業員に強調する必要がある」と話す。情報が企業内で共有されることを恐れて相談をためらう従業員もいるからだ。
第3回は、従業員の孤独感や孤立状態を解消する8つの対処法のうち、2つ目と3つ目を紹介する。
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