企業のビジネスを陰で支える「アプリケーションパフォーマンス監視」(APM)。APMツールに、人工知能(AI)技術を取り入れる動きがある。なぜAI技術が必要なのか。AI技術で何がどう変わるのか。
「アプリケーションパフォーマンス監視」(APM)の仕組みを見直し、運用データを有効に活用するには、戦略的なアプローチが必要だ。APMベンダーは機械学習などの人工知能(AI)技術や自動化を採用することで、高可用性の確保や定期的な更新といったアプリケーションの要求に応えようとしている。
従来のAPMツールは、ソースコードの実行を監視して問題を知らせることに特化してきた。一方でアプリケーションは数百万行のソースコードで構成されるなど、複雑化することが珍しくなくなった。オープンソースソフトウェア(OSS)や複数のクラウドサービスで構成される昨今のアプリケーションは、エラーの原因を特定することが難しくなっている。
アプリケーションが稼働するインフラは、オンプレミスインフラとクラウドサービスが混在したハイブリッドクラウドに変わりつつある。こうした動きを受け、従来のAPMツールは通用しなくなってきた。企業はアプリケーションの挙動に影響を与える幅広いコンポーネントに加え、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を含むハイブリッドなシステム構成を管理する必要がある。従来のAPMツールには、こうしたシステム全体の可視化に必要な要素が欠けている。
企業の間ではアプリケーションにおける問題の発生を抑止するために、開発や運用にAI技術を採用する動きが広がっている。AI技術の活用には膨大な量のデータを分析することが重要だ。AI技術を活用したAPMツールは、リアルタイムにデータを分析し、問題の発生を予測して予防できるように設計されている。AI技術は自動化されたデータ分析によって可視性を高め、データの相互依存関係をマッピングすることで問題を迅速に検出し、修復する。
最新のアプリケーションはAI技術なしには全体の可視化がほぼ不可能な場合がある。膨大なデータを読み込んで重要なパターンを特定することは、人間には到底できない。企業はAI技術を使ったAPMツールを導入することにより、いち早く異常を発見し、応答の遅延といったパフォーマンスの問題を迅速に解決できる。複数のソースからのデータを自動的に相関付けて分析し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることも可能になる。
中編は、APMにAI技術を取り入れることによるさまざまなメリットを紹介する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...
ブラックフライデーのオンラインショッピング 日本で売り上げが大幅に増加した製品カテゴリーは?
Criteoは、日本国内のブラックフライデーのオンラインショッピングに関する分析結果を発...
Omnicomが Interpublic Groupを買収 世界最大級の広告会社が誕生へ
OmnicomがInterpublic Group(IPG)を買収する。これにより、世界最大の広告会社が誕生し...