タブレットを「シンクライアント」化して、仮想デスクトップに接続する使い方は、特定の場面で特に効果を発揮し得る。タブレットの強みを生かせる、具体的な活用場面を取り上げる。
近年のタブレットは、PCに迫るほどの処理性能と通信機能を備え、仮想デスクトップに接続する「シンクライアント」として業務利用する上で十分な実力を備えるようになった。シンクライアントは、機能を最小限に絞り込み、ネットワーク経由でデスクトップに接続することに特化した端末を指す。タブレットの長所と短所を踏まえ、「シンクライアントとしてのタブレット」の価値を最大限に引き出せるのはどのような場面なのか。
現在のタブレットは、シンクライアントとして実用的な水準に達するだけの処理能力、通信機能、操作性、周辺機器との連携機能を備えている。ディスプレイやバッテリー、タッチスクリーンの進化も、その価値を後押しする。エネルギー効率の良さと卓越した携帯性は、タブレットならではの強みだ。
エンドユーザーがすでにその操作に習熟している点も大きい。仮想デスクトップに接続している間に、必要に応じて現場作業員やテレワーカーがGPS(全地球測位システム)機能で現在地を確認したり、Webブラウザで情報を検索したりといったタブレット本体の機能と使い分けることが可能だ。
シンクライアントとしてのタブレットには、メリットだけではなく課題も存在する。高度なグラフィック性能を要する専門的なアプリケーションなど、一定のスペックを要求するアプリケーションは、サーバやネットワークの性能が十分ではない場合に、操作感が損なわれることがある。仮想デスクトップとシンクライアントの仕組みは常時安定したネットワーク接続を前提としており、接続状況が悪化すれば業務の遂行能力に大きな支障が生じかねない。
画面サイズそのものが制約になる場合もある。エンドユーザーが情報を一覧したり、複数の作業を同時にこなしたりしようとすれば、タッチ操作だけでは煩わしさを感じることがあるはずだ。マウスなどの外部機器を利用できても、PCと完全に同じ操作感が得られるとは限らない。
こうした特性から、シンクライアントとしてのタブレットは、以下の用途で輝くと言える。
これらはあくまで一例に過ぎない。特にPCやサーバなどのITリソースが限られる中小企業にとっては、導入と管理が容易なタブレットは、事業を支える重要な存在になり得る。一方で大企業では、利用者を現場作業員や営業担当者といった特定の役割を担うエンドユーザーに絞り込むことで、成果の創出が期待できる。
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