企業のIT資産を守りつつ、管理コストを削減する上で有効な手になり得るのが「シンクライアント」と「仮想デスクトップ」の組み合わせだ。その仕組みと、企業にもたらす利点を探る。
企業が仮想デスクトップやアプリケーションをエンドユーザーに配信する際の選択肢に、「シンクライアント」の利用がある。シンクライアントとは、機能を最小限に絞り込み、ネットワーク経由でデスクトップに接続することに特化した端末のことだ。「リーンクライアント」という別名もあり、専用端末や中古PCを転用したもの、Appleの「iPad」やSamsungの「Galaxy Tab」といったタブレットまで、その形態は多岐にわたる。
近年のタブレットは、もともとの持ち運びやすさや価格の手頃さといった魅力を備えつつ、処理速度と操作性を向上させている。こうした進化を背景に、企業はシンクライアントとしてのタブレットに期待を寄せている。本連載は、仮想デスクトップを提供するシンクライアントとしてタブレットを使うための基礎を解説する。
シンクライアントを使うことで、エンドユーザーはインターネットやプライベートネットワークを介して、仮想化されたデスクトップやアプリケーションにアクセスできる。これらのサービスはクラウドサービスやオンプレミスサーバで動作し、データの処理や保存もそこで完結する。エンドユーザーは手元のシンクライアントを操作して、場所を問わずにサービスを利用できるという仕組みだ。
エンドユーザーのキーボード入力やマウスクリックといった操作は、シンクライアントからサーバに送信され、サーバがその要求を処理して結果を送り返す。シンクライアントの役割は、その結果を分かりやすいGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)で表示することにあり、PCを直接操作しているかのような体験をエンドユーザーに提供する。負荷の高い処理はサーバが担うため、シンクライアント自身は、サーバから送られてくる画面を表示することに専念できる。
仮想デスクトップを操作するため、シンクライアントには低消費電力のCPU(中央処理装置)、ディスプレイ、フラッシュストレージ、ネットワークアダプターといった基本的なハードウェアが必要だ。同時に、最小限のローカル処理とサーバ接続を担うソフトウェアも不可欠だ。シンクライアント専用端末は、これらの要件を満たす、シンクライアント用の軽量OSを搭載している。
企業が通常のノートPCやデスクトップPCに代えてシンクライアントを選ぶのは、仮想的な作業環境をエンドユーザーに提供することで、次のメリットを得ることができるからだ。
シンクライアントは、仮想デスクトップやアプリケーションへのアクセスに特化した専用システムとして普及してきた。端末での処理を極力なくし、サーバで稼働する仮想デスクトップとの「窓口」として機能することを主な目的としている。VDI(仮想デスクトップインフラ)用に設計された製品も豊富だ。
既存のPCをシンクライアントに転用する手法もある。これによってPCの耐用年数を延ばしつつ、新規ハードウェアの購入を抑制可能だ。近年では、これらに加えてモバイルデバイス、とりわけタブレットをシンクライアントとして使う動きが広がりつつある。
次回は、タブレットをシンクライアントとして使うことの可能性を模索する。
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