テレワークの普及とともに働き方が変わる中で、「静かな解雇」が注目を集めるようになった。一見して通常時とは見分けが付きにくい静かな解雇とは。
テレワークが普及して働き方の標準が変わる中で、職場に対して無言で何らかの意思表示をする行動が注目を集めるようになった。「依頼される仕事の質が変わった」「コミュニケーションに変化があった」などと感じたら、それは「静かな解雇」である可能性がある。昨今の職場ではどのような静かな解雇が起きているのか。
静かな解雇とは、会社が対象の従業員に対して解雇を言い渡すのではなく、従業員に自発的な退職を促すことだ。静かな解雇のやり方は管理職や対象の従業員、業界によって異なるが、次のような兆候があったら静かな解雇が起きている可能性がある。
上司が良いフィードバックも悪いフィードバックも十分に提供しなくなった場合、上司はその従業員の仕事の成長に興味がなくなっている可能性がある。
逆に、上司が通常以上に厳しく従業員を批判するときもある。過剰なフィードバックも、それが建設的なものでない場合は、従業員を退職に仕向けることになる。
昇進を逃すのは残念なことによくあることだが頻繁に起きる場合は事情が異なる。だが昇進や昇給、ボーナス支給の機会を頻繁に逃していて、フィードバックや理由の説明もない場合、その従業員は静かな解雇の対象になっている可能性がある。
チームとの強いつながりがあり、活動的なチームメンバーであることは、成功に不可欠だ。会議やプロジェクト、親睦会などのチーム活動から外されている従業員は、静かな解雇の対象になっている可能性がある。会議中に無視されたり、活動に参加する機会を与えられなかったりするのも、危険な兆候だ。
異常に負担の重い業務や、非現実的な仕事量は従業員を押しつぶし、バーンアウト(精神的または身体的に消耗してエネルギーをなくすこと)や意欲低下を招く。これは静かな解雇のよくある手法であり、無理な仕事と、その達成に関する非現実的な要求により、多くの従業員が自発的な退職に追い込まれる。
上司が従業員の目標を無視し、従業員の上昇志向に無関心だと、従業員は自分の価値が認められておらず、これ以上は上に進めないと感じる。その結果、多くの従業員は自主退職を選ぶことになる。
上司のマイクロマネジメントも、従業員を退職に向かわせる手段の一つだ。「業績評価を過度に頻繁に何度も実施する」「過剰に批判的なフィードバックが多い」「上司が常に監視している」などは、マイクロマネジメントの例だ。
自分の能力以下の仕事や雑用ばかり担当させられている従業員は、静かな解雇の対象になっている可能性がある。通常ならもっと低いレベルの従業員が担当するような仕事を割り当てられたり、所属部署から仕事が割り振られなくなったりすると、その従業員は自分が正当に評価されていないと感じ、自主退職を選ぶ可能性がある。
静かな解雇のよくある兆候が、上司の無関心だ。「1対1の会話が少ない」「メールやチャットなどのデジタルコミュニケーションが少ない」「従業員の業務や目標にあからさまに無関心な態度を示す」などはその例だ。
次回は、静かな解雇が起きる原因を解説する。
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