テレワークからの揺り戻しとして「オフィス回帰」が注目されるようになったが、それと同時に「静かな解雇」の動きも密かに広がっている。その“無言で言い渡される解雇”の実態とは。
テレワークが普及したことと時を同じくして、職場に対して無言で何らかの意思表示をする動きが広がっている。「職場での居場所が徐々に失われている気がする」と感じたら、それは「静かな解雇」が起きている可能性がある。「オフィス回帰」とのつながりも深い、その“無言の行動”の実態を探る。
雇用主が正式な解雇やレイオフ(一時解雇)を告げる代わりに、従業員を閑職に追いやるなどして自発的に退職するように仕向けることを「静かな解雇」(クワイエットファイアリング)と言う。そうしたやり方は今に始まったことではないが、テレワークからオフィスワークに回帰する流れが生まれる中で、出社を厳しく義務付ける動きが広がり、静かな解雇が注目を集めるようになった。
人事管理システムを手掛けるBambooHRが2024年6月に発表した調査結果によると、企業の最高経営幹部(Cレベル)の25%が、オフィス回帰(RTO:Return To office)を厳格化して自主退職につなげたいと考えているという。この調査は2024年3月に、市場調査会社Method ResearchがBambooHRからの委託で実施したものだ。米国の18歳以上の1504人から回答を得ている。この中にはマネジャー以上の役職を持つ人事業務関連職504人が含まれる。
静かな解雇とは、企業が従業員を正式に解雇する代わりに、自発的な退職を促すことだ。それを達するために、以下のような行為によって従業員を不快な状況に追いやる。
こうした行為の結果、対象の従業員は意欲を失ったり、バーンアウト(精神的または身体的に消耗してエネルギーをなくすこと)したりして、最終的に会社を去ることになる。
静かな解雇は、従業員の心の健康と健全性を損なう可能性があるやり方だ。従業員の困惑や不満、不安を高め、仕事に対する自信を失わせることがある。静かな解雇は必ずしも違法ではないが、不当解雇につながる可能性がある場合は、雇用主に法的リスクが生じることに注意が要る。
次回は静かな解雇につながる個々の行動を深堀りして解説する。
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