オフィスワークへの回帰は、企業にとってメリットばかりとは限らない。パンデミックでのテレワーク移行から一転して、オフィスワーク推進にかじを切った企業は、どのような“悪夢”に直面したのか。
オフィスワーク再開を巡る駆け引きが、企業と従業員の間で続いている。どちらか一方が明らかに優勢というわけではない。週5日のオフィスワークを従業員に求めることは、妙手なのか、悪手なのか――。それを判断する上で参考になる格好の例が、スタートアップ(創業間もない企業)であるLinkSquaresで起こった、ある“悲劇”だ。
2015年創業のLinkSquaresは、企業の法務部門向け契約ライフサイクル管理(CLM)ベンダーだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が落ち着きを見せ、テレワークをしていた従業員がオフィスに戻り始めると、同社はオフィスワークの推進にかじを切った。
LinkSquaresは、製品開発部門など一部部門でテレワークを継続する一方、営業部門を中心にオフィスワークに回帰。約半数の従業員が、オフィスで週5日勤務するようになった。
「新人営業担当者の急速な増加が、われわれをオフィスワークへと駆り立てた」。LinkSquaresの最高レベニュー責任者(CRO)、スティーブ・トラバグリーニ氏はこう話す。同社はパンデミックが落ち着く中、営業担当者を急激に増やしていたという。
LinkSquaresでは新人の営業担当者は、企業への営業電話やプレゼンテーションといった仕事を主に受け持つ。新人営業担当者にこうしたスキルを迅速に身に付けてもらうには、オフィスワークが適すると同社は判断した。
週5日のオフィスワークを2年間継続したところ、LinkSquaresでは「従業員の燃え尽き症候群が目立つようになり、従業員が減少した」とトラバグリーニ氏は説明する。同社は退職者や従業員への意識調査を実施した。その結果、従業員はテレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークを圧倒的に支持していることが浮き彫りになったという。
調査結果を受けて2023年5月、LinkSquaresは従業員の働き方に関する方針を変更。営業部門を中心に、テレワークと週3日のオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークを導入することにした。
次回は、オフィスワークを強制することのリスクと、企業の勤務形態の実態を紹介する。
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