パンデミックで急速に普及したテレワーク。かつての日常が戻り、オフィス回帰の動きが広がる中、テレワークは“過去に少しだけ流行した働き方”になってしまうのだろうか。Gartnerの人事アナリストに聞いた。
調査会社GartnerでHR(人事)プラクティス部門のアナリストを務めるケイトリン・ダフィー氏は、「企業は概して従業員のオフィス回帰を望んでいる」と考えている。テレワークでは、従業員が毎日何をしているのか様子を確認することが難しいからだ。
企業は社交イベントや快適な設備を用意して、従業員のオフィス回帰へのモチベーションを高めようとしている。ただしオフィス出社を強制するかどうかについては「慎重に判断しようとしている」というのがダフィー氏の見解だ。同氏はその理由を「どの企業も従業員を失いたくないからだ」とみる。
テレワークが今後どの程度縮小していくかは未知数だ。テレワークに関する調査とコンサルティングを手掛けるGlobal Workplace Analyticsでプレジデントを努めるケイト・リスター氏によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)時に、企業の間でテレワークを導入する動きが一気に広がった。こうした動きは「企業が“やればできる”ことの証明だ」というのが、同氏の見方だ。
リスター氏の見立てによれば、大半の労働者は週に3日以上のテレワークを希望しており、完全テレワークを希望する労働者も相当数いる。一方で従業員に、週に最低3日はオフィスワークをしてほしいと考える企業は少なくないという。
ワークフォースマネジメント(WFM:人的資源管理)ベンダーBeelineの場合、米国の従業員はパンデミック以前、主にフロリダ州ジャクソンビルかコロラド州デンバーのオフィスで仕事をしていた。当時も一部の従業員はテレワークをしていたという。
パンデミックの影響でBeelineは完全テレワークに移行した。その後、従業員の生産性は「天井知らずで伸びた」と、同社CEOダグ・リービー氏は語る。「率直に言って、従業員はそれまで働き過ぎだった」とリービー氏は認める。「会社が命令したのではなく、自然とそうした状況になっていた」(リービー氏)
次回は、リービー氏が考えるオフィスワークのメリットと、それでもオフィスワークへの回帰が進まない理由を紹介する。
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