急速に普及するOpenAIの「ChatGPT」。その中核要素であるLLM「GPT-4」の活用を進めるBeameryは、GPT-4を生かしつつ、GPT-4に依存し過ぎないことの重要性を強調する。その理由とは。
テキストや画像などを自動生成する人工知能(AI)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)を自社製品に組み込む動きが、人事部門向けツールベンダーの間で広がっている。採用プロセス支援ツールを提供するBeameryはその一社だ。Beameryは、AI技術ベンダーOpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」の技術を自社製品に組み込もうとしている。
生成AIツールは、文章を要約したり、自然言語による質問に応答したりするのに役立つ。Beameryは、ChatGPTも採用するOpenAIのLLM(大規模言語モデル)「GPT-4」を活用した製品のβ版を提供した。ユーザー企業はこの製品を使うと、職種や役割ごとの業務内容をまとめたジョブディスクリプション(職務記述書)を作成する際、GPT-4による支援が受けられる。
BeameryはGPT-4単体ではなく、世界中の人材データを基に構築した、人材管理用の独自AIモデルを組み合わせて、自社製品に組み込んでいる。こうした用途特化型のAIモデルがなければ「問題を抱えることになる」と、Beameryの共同設立者兼プレジデントであるスルタン・サイドフ氏は言う。「プロダクションマネジャーのジョブディスクリプションを書いて」と指示されても、GPT-4にはそれが建設業のものなのか、演劇業のものなのかが分からないためだ。
サイドフ氏は、ChatGPTやGoogleの「Bard」といった生成AIツールを導入すると、一部の業務については効率化が可能だと考えている。ただし生成AIツールが示す内容には、偏った内容や不正確な情報が含まれる可能性を排除できない。そのため意思決定を生成AIツールに依存するのは「まだリスクが大きい」とサイドフ氏は指摘する。
人事採用システムベンダーHireologyの共同創業者でCEOのアダム・ロビンソン氏は「生成AIツールがHR Tech(人事とITの融合)に広く影響を与える」と考えている。この意見に、サイドフ氏も同意を示す。HireologyはChatGPTベースのジョブディスクリプション作成支援ツールのβ版を提供している。
後編は、人事分野におけるAI技術の可能性を専門家に聞く。
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