いつかAIに仕事を奪われるのではないか――。しばしば起こるこの議論が、OpenAIの「ChatGPT」登場によって再燃した。ChatGPTは人事部門の仕事を奪うのか、奪わないのか。専門家の答えは。
「『ChatGPT』は人事部門の仕事を奪うのか」――。人事専門メディアHuman Resource Executive主催のオンラインイベント「HR Technology Conference & Exposition 2023」の基調講演で、参加者から挙がった質問だ。人工知能(AI)技術ベンダーOpenAIのAIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)であるChatGPTは、人事部門の業務にどのような影響を及ぼすのか。
基調講演に登壇したフリーのテクノロジーアナリスト、ジョシュ・バーシン氏は「どの技術も、誰かの仕事を奪うことはないと信じている」と回答。「ITの役割は、繰り返しの単調な作業を、より良い仕事にすることだ」と続けた。
バーシン氏は「人事の雑務の多くは既に、セルフサービスポータル(ユーザー自身が必要な申請をするためのWebページ)や、その他の技術によって効率化が進んだ」と説明する。同氏は「ジェネレーティブAI」(生成型AI:テキストや画像などを自動生成するAI技術)が人事担当者の仕事を奪うとは考えていない。むしろジェネレーティブAIがあることで、人間はより高度な業務に時間を割くことができるようになるというのが、同氏の見方だ。「AIツールの能力が向上し、こなせる業務の種類は増える」と同氏は語る。
ChatGPTは間違った回答を生成する場合がある。「人事担当者はChatGPTを訓練するだけではなく、従業員がChatGPTにどのような質問をしているのかを把握する必要がある」とバーシン氏は指摘する。同氏は人事部門に「ChatGPTの管理と改善」という新種の仕事が生まれると考えている。人事担当者が職を失うことについては「あまり心配していない」と同氏は語る。
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