経営幹部が良かれと思って実施したテレワーク支援プログラムが、従業員にとっては見当違いな施策だった、ということがある。こうした事態を生まないために企業が気を付けるべきことは何か。
テレワークで孤独感や孤立状態に悩む従業員を生まないための支援策の一つとして、企業がメンタルヘルスやウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)を支援するプログラムを提供する方法がある。人事責任者をはじめとする経営幹部は、こうしたプログラムをどう生かせばよいのか。本稿は従業員の孤独感や孤立状態を解消するための8つの方法のうち、5つ目を紹介する。
メンタルヘルスとウェルビーイングのプログラムは、経営幹部が計画を設計するのが一般的だ。「経営幹部が従業員の生活の実態や業務経験を考慮せずに、計画を策定している場合がある」とトム・オックスリー氏は話す。オックスリー氏は、Bamboo Mental Healthという屋号で企業向けメンタルヘルス支援プログラムを提供している。
例えば経営幹部なら、自宅の空き部屋を仕事部屋として整備できるだけの経済的余裕がある人は珍しくない。だが出世の階段のもっと下の方にいる一般従業員は、ワンルームの自宅でテレワークをせざるを得ない可能性がある。その場合、きちんとした机を置くスペースがあるとは限らない。ウェルビーイングのプログラムを設計する経営幹部は、全従業員のニーズに最大限に対処できるよう、こうしたギャップを認識する必要がある。
従業員がテレワークをする際に対処しなければならない課題は、スペース、プライバシー、経済力、静かさなど多岐にわたる。従業員が前向きに働くために、そしてメンタルヘルスの問題を抱えないようにするには、こうした課題の把握に取り組むことが重要だ。
オックスリー氏は「さまざまな生活実態を念頭に置く必要がある」と指摘する。「企業は事業を推進しなければならず、利益を出す必要があり、適切な製品を導入する必要がある。一方で、その実現を支える従業員の生活実態も理解しなければならない」(同氏)
第6回は、従業員の孤独感や孤立状態を解消する8つの対処法のうち、6つ目を紹介する。
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