テレワークやハイブリッドワークが広がったことは全体的な傾向だと言えるが、その実施状況には濃淡がある。調査で個人の“ある特徴”がテレワークの実施頻度に影響を与えていることが分かった。
テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)の普及は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を機に起きた全体的な変化の一つだと言える。ただし在宅勤務の実施頻度といったテレワークの実施状況を見ると状況は一様ではない。調査では、テレワークを多く実施している人ほど“ある特徴”が強い傾向があることが分かった。何が働き方の選択に影響を与えているのか。
全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)が2024年4月に発表したワーキングペーパー(暫定的な論文)「Why Does Working From Home Vary Across Countries and People?」は、在宅勤務率に影響する要因を探った。34カ国の中等教育〜高等教育を修了した20〜64歳の労働者が調査対象になった。同ワーキングペーパーは、国や性別、大卒か否かといった観点で在宅勤務の実施頻度を比較した。
在宅勤務の実施頻度が最も高かったのは、米国の大卒男性で週当たり1.95日だった。カナダの大卒男性(1.90日)と、英国の大卒男性(1.88日)がそれに続いた。米国の大卒女性は1.60日だった。日本の大卒男性は0.755日、大卒女性は0.625日だった。
この研究は、オランダの社会心理学者ヘールト・ホフステード氏の個人主義指標と在宅勤務実施頻度との関係を調べた。個人主義指標は「ある社会における個人が、集団の目標や団結より、自分の野心や独立を優先する度合いを測定するための指標」だ。調査対象となった国の中で個人主義指標が最も高いのは米国で0.91。カナダは0.8、日本は0.46となっている。この個人主義指標が高い国ほど、在宅勤務の実施頻度が高くなる傾向が見られた。
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