Oracleが発表したAIエージェントの作成・管理ツールによって、AIエージェントをカスタマイズしたり、OracleもしくはサードパーティーのAIエージェントを組み合わせて複雑な業務を自動化したりできるようになる。
Oracleは2025年3月20日(現地時間)、ユーザーカンファレンス「Oracle CloudWorld tour London」にてAIエージェントの作成・管理ツール「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」(以下、Oracle AI Agent Studio)を発表した。同ツールは、SaaS(Software as a Service)型のアプリケーションスイート「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」の一部として提供され、ユーザー企業やパートナーがカスタマイズされたAIエージェントを作成するためのツールとなる。
Oracle AI Agent Studioは追加料金なしで提供され、Oracle自身がAIエージェントを開発するために使用しているツールと同等のテクノロジーが使われている。ユーザーはOralceから提供されたAIエージェントを拡張したり、あるいは新規のAIエージェントを開発したりできる。作成されたAIエージェントはOracle Fusion Applicationsと統合され、さらにサードパーティー製のAIエージェントとの連携も可能だという。
日本オラクルが開催した説明会でOracle AI Agent Studioについて説明したOracleのOracle AI担当グループバイスプレジデント、ミランダ・ナッシュ氏は「Oracleは既に50個のAIエージェントがOracle Fusion Applicationsに組み込まれて提供されることを発表済みだが、今回新たに加わったOracle AI Agent Studioによって、ユーザーは独自のAIエージェントやOracle提供のAIエージェント、サードパーティー製エージェントを組み合わせて運用できる」と説明。その上で「ユーザーは単独のAIエージェントでも、複数のAIエージェントからなる『エージェント・チーム』でも、目的に応じて構成して業務を遂行させることができるようになる」と語った。
独自のAIエージェントを作成する際の支援として、Oracleは事前構成済みのテンプレートやライブラリ、自然言語によるプロンプトなども提供する。AIエージェントの実装を支えるLLM(大規模言語モデル)に関しては、IaaS(Infrastructure as a Service)の「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上でさまざまなLLMがホストされていることを生かし、ユーザーが目的に応じたLLMを選択することが可能になっているという。
AIエージェントが急速に関心を集め、各社からさまざまなAIエージェントが提供され始めているが、今回のOracleの取り組みは、エンタープライズ向けの基幹業務アプリケーションとAIエージェントを組み合わせ、従来のワークフローエンジンのような位置付けで業務フローに高度な自動化をもたらすソリューションとして提供される形となっている。
目新しい最新技術としてではなく、成熟度を高めての提供であることから、Oracle Fusion Applicationsのユーザー企業ではAIエージェントの活用が迅速に進むことが期待できるだろう。他社製AIエージェントとの連携にも注力されている点もポイントで、Oracleを軸に各社のAIエージェントを組み合わせた「エージェントチーム」による業務の自動化が実現するものと期待される。
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