テイラー、“ヘッドレスERP”に使いやすいUIを融合した「Omakase ERP」を発売最短翌日から使えるERPの国内販売開始

Tailor Technologiesは同社が提唱する“Headless ERP”として「Omakase ERP」を日本国内向けに提供開始した。Omakase ERPはカスタマイズ性能の高さや使いやすい画面デザインを特徴としている。

2025年03月27日 05時00分 公開
[渡邉利和]

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 Tailor Technologies(日本法人:テイラー)は2025年3月21日、“Headless ERP”(ERP:統合基幹業務システム)として、カスタマイズ性能の高さや使いやすい画面デザインを両立した「Omakase ERP」を日本国内向けの提供開始したと発表した。販売管理や在庫管理、生産管理などの分野向けの企業向けアプリケーションを提供する。

UIを使いやすくした“ヘッドレスERP”の利点とは?

 以前からTailor Technologiesは、APIベースのERP製品を「Headless ERP」(ヘッドレスERP)として開発、提供してきた。今回発表のOmakase ERPは、Headless ERPに新たに独自開発した柔軟なフロントエンド技術を組み合わせることで、ユーザーインタフェース(UI)を備えたERPアプリケーションとして提供するもの。同社ではその意義について「Headless ERPの柔軟性を損なわずに、使いやすいユーザーインタフェースを最初から備えたアプリケーションを短時間で提供することが可能になった」と説明している。

写真 Tailor Technologiesの柴田 陽氏

 Tailor Technologiesの共同創業者でCEOの柴田 陽氏は、同社の概要について、「業務システムをターゲットにした会社で、コンポーザブル開発基盤と社内で呼んでいる開発プラットフォームを自社開発して提供し、同時にプロフェッショナルサービスとして要件定義から開発、サポートまで一気通貫のサービスを提供している会社」だと説明する。

 同社の開発基盤「Tailor Platform」は高速にAPIを作成できることを主眼としている。柴田は次のように説明する。「APIなど、バックエンド側をものすごく効率的に開発できるものになっており、それによってエンジニアリングのリソースを企業にとって重要なビジネスロジックの開発に集中できる。インフラの設定や、エンジニアには『グルーコード』と呼ばれている、開発するために書かなくてはならないさまざまなコードがあるが、それをできるだけ少なくして本当にメインのところだけを作ればプログラムをすぐに展開できるというような製品になっている」

 この開発基盤上に同社がHeadless ERPと呼ぶアプリケーションが作られている。柴田氏は“Headless”の意味について「画面中心ではなくAPI中心のERP製品」だと説明しており、ユーザーインタフェースなしで中核となるロジックとAPIを用意し、別途用意されたユーザーインタフェースや他のアプリケーション等からAPI経由で利用することを想定している(図1)。このようなアーキテクチャを採用した理由として同氏は「モノリシックなオールインワンのERPが企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に際しては柔軟性を欠いていて邪魔になっている」と指摘。さらにこうした旧来型の大規模なERPの更新に失敗して長期間業務停止に追い込まれるような事例も出てきていることにも言及し、大規模システムを導入、運用することにはリスクがあるとした。

画像 図1 Tailor Technologiesが提唱するHeadless ERPの利点(提供:Tailor Technologies)《クリックで拡大》

 同社のHeadless ERPは小さな機能群(モジュール)を組み合わせて求める機能を実現していくことを目指した「コンポーザブル」というアーキテクチャに基づき、さらに他社のサービスとも組み合わせていくことを考えると、APIベースの連携が必須というところから構想されたものだという(図2)。

画像 図2 Omakase ERPの特徴(提供:Tailor Technologies)《クリックで拡大》

 Omakase ERPは、コアとなるHeadless ERPに、オープンソースプロジェクト「Fabrix」で培われたフロントエンド自動生成技術を組み合わさり、ユーザーが柔軟にカスタマイズ可能なインタフェースを備える業務アプリケーションとして提供される。従来のHeadless ERPと比べると、ユーザーインタフェースの開発が不要になる分、より迅速な導入が可能だ。また、コンポーザブルという特性を生かし、網羅的に大規模導入をするのではなく、必要な部分だけを迅速に導入できる。

 一般にERPというと、ベンダー側が設定した「ベストプラクティス」を受け入れることで業務を効率化することが重要だと言われるが、柴田氏は会計や人事などは標準化が進んでいる一方、「販売管理や在庫管理、生産管理などの領域は個々のユーザー企業ごとに業務プロセスの創意工夫が活発で、カスタマイズ性や拡張性が重要なシステム領域」だと指摘。その上で、こうした領域に対して「個社ごとにテイラーメードされた業務ソフトウェアを10倍速で開発できるプラットフォームとしてTailor Platformを提供する当社の強みを生かせる」としている。

 Omakase ERPは年商500億円以上の中堅・大企業(非IT企業)をターゲットとし、個社ごとにカスタマイズ可能なクラウドソフトウェアとして提供される。価格は個別見積りとなる。

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