ITエンジニアの需要は世界中で高まり続けている。給与が上がるキャリア形成を考える場合、「どのような技術を身に付けるか」とともに「どの都市で働くか」も考慮したい。成長株の都市を紹介する。
ITエンジニアがキャリア形成や新しい働き方を求める場合、「どの都市で働くか」を問い直して世界に飛び出すことがチャンスにつながる可能性がある。本連載の後編も引き続き、IT産業が活況な都市を紹介し、ITエンジニアにとって魅力的なポイントを解説する。
ロンドン市のIT業界における注力分野は、FinTech(金融とITの融合)やEC(Eコマース:電子商取引)事業、ゲーム開発だ。AI(人工知能)技術分野でスタートアップ(設立後間もない企業)が設立する動きも活発だ。Amazon.comやApple、Google、IBM、Meta Platforms、Microsoftといった大手IT企業が拠点を持っており、ソフトウェア開発やテクニカルサポート、クラウドセキュリティなどさまざまな分野のキャリアを築くチャンスがある。
多様な文化に触れられることもロンドンで働く魅力だ。大英博物館や自然史博物館といったロンドン市内の博物館や美術館は入場料が無料。多民族が入り交じる市内では、さまざまな言語が飛び交う。音楽イベントの開催も活発だ。例えば英国の公共放送局BBC(英国放送協会)が主催する年次音楽イベント「BBCプロムナードコンサート」(The Proms)は毎年8週間開催する著名な催しの一つだ。
技術産業が急成長しているトロント市では、高度なスキルを持つ人材を輩出しているトロント大学(University of Toronto)をはじめ、複数の世界大学ランキングで上位に位置する大学が多数ある。
Amazon.comやGoogle、IBM、Microsoft、Salesforceといった大手IT企業が拠点を構えている。多文化共生政策を推進する社会でキャリアの拡大を望むITエンジニアにとっては魅力的な都市だ。
オースティン市は、時事解説誌『US News & World Report』の調査レポート「Best Places to Live」において2017〜2019年まで「アメリカで最も住みやすい都市」第1位にランクインしていたこともある。Amazon.comやApple、Dell Technologies、Google、Intelといった大手IT企業が拠点を持ち、幅広い求人の選択肢がある。
コンピュータ技術産業協会(CompTIA)が毎年公開している米国の都市ランキング「Tech Town Index」でも、2019〜2022年まで4年連続で第1位にランクインした。Tech Town IndexはITエンジニアにとって魅力的な都市をランク付けしたものだ。人口25万人以上の都市を対象にITエンジニアへの需要が高い20都市を選出し、生活費や求人数といった項目に基づいてランキングを作成している。
著名なコンピュータサイエンス学部を持つテキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)もあり、教育に重点を置く魅力的な地域だ。
FinTechやEC事業、AI技術分野の企業が集中しているシンガポールには、Amazon.comやApple、Google、Microsoft、Oracle、Meta Platformsが拠点を置いている。
アジアを拠点とするITエンジニアにとって、シンガポールは居住地としても勤務地としても魅力的な場所といえる。経済は好調で政情も安定しているため、高い生活水準を保持しているからだ。
高度なスキルを持ちグローバルに活動する人材の誘致を目的として、シンガポール政府は2023年1月から新しい就労ビザ「Overseas Networks & Expertise Pass」を導入している。このビザ取得を希望する場合、「過去1年以内の固定給が月額最低3万シンガポールドル」あるか、「これからシンガポールで得る月額固定給が最低3万シンガポールドル」であることが申請の条件となっている。
ベルリン市はドイツの中で特にスタートアップの起業が盛んな地域だ。コンサルティング企業Ernst & Young Global(EY)が2023年4月に公開した「EY Startup-Barometer Germany July 2023」によると、ドイツのベンチャーキャピタルへの投資総額のうち47%をベルリン市のスタートアップが占めている。主要な投資部門の一つがFinTechやEコマース、ソフトウェア開発だ。シリコンバレーのように、ベルリン市でもさまざまな組織がスタートアップのビジネスを支援している。例えばSilicon AlleeはスタートアップやITエンジニアをつなぐハブとして活動している。
IT企業の活動が活発な他の主要都市に比べ、ベルリン市では生活費を抑えられるという説もある。人事コンサルティング企業Mercerは、世界227都市の物価を比較する調査レポート「Cost of Living City Ranking 2023」を公開している。同レポートにおいてベルリン市は227都市中37位だった。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
AppleとMetaの戦い――AR・ウェアラブル領域で、勝つのはどっち?
Metaは年次イベント「Meta Connect 2024」において最新のARグラス「Orion」のプロトタイ...
2024夏アニメの人気維持率 「負けヒロインが多すぎる!」の特異な動き
ブシロードのグループ会社であるゲームビズは「アニメビジネスインサイト『データで見る2...
約8割の人が経験する「見づらいホームページ」 最も多い理由は?
NEXERはくまwebと共同で「見づらいホームページ」に関するアンケートを実施した。