「Gemini 2.5 Pro」で何ができる? Googleエコシステムの本気度は加速するGoogleのAI開発【後編】

2025年3月、Googleは新LLM「Gemini 2.5 Pro」の試験運用版を発表した。どのように業務に活用できるのか。Googleの各種サービスとの連携と併せて、その可能性を探る。

2025年06月23日 07時00分 公開
[Sean Michael KernerTechTarget]

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 大規模言語モデル(LLM)の開発競争は激化しており、AI(人工知能)ベンダー各社が新モデルを次々と発表している。2025年3月、GoogleはLLM「Gemini 2.5 Pro」の試験運用版を発表。同モデルは複数の主要なAIベンチマークで上位にランクインし、LLM分野における同社の存在感を強く印象付けた。

 本稿は、Gemini 2.5 Proの具体的な用途や、今後期待されるGoogleが提供する各種サービスとの連携と併せて、その可能性を探る。

「Gemini 2.5 Pro」×「Googleエコシステム」で何ができる?

 Gemini 2.5 Proは以下のようなタスクに対応可能だ。

  • 質問への回答
    • 学習データに基づいた質疑応答が可能。テキスト、画像、音声、動画といった複数の形式のデータを組み合わせた複合的な質問にも回答できる。
  • コンテンツ要約
    • マルチモーダルモデルとして、テキストだけでなく音声や動画といった長尺のコンテンツの要約も可能。
  • コンテンツ生成
    • テキスト以外にもソースコードや音声を生成できる。公開時点では画像、動画の生成機能は実装されていない。
  • 複雑な問題の解決
    • 高度な推論能力により、数学、科学、構造化データを用いた分析など、推論的思考を要する問題に対応できる。
  • 文書解析
    • 長文文書の解析、複数情報源の比較や統合が可能で、調査や研究などに適する。最大100万トークンのコンテキストウィンドウ(生成AIがやりとりの中で保持できる情報量)と推論機能がそのベースとなる。
  • コーディング支援
    • ソースコードの自動生成やデバッグ、リファクタリングなどを通して、アプリケーション開発の生産性向上に貢献する。
  • エージェント型AIとしての活用
    • 関数呼び出しやツール利用といった機能を通じて、タスク自動化や複数プロセスのオーケストレーションを担うエージェント型AIとしての活用も可能。

Googleエコシステムとの連携強化にも期待

 以下のようなGoogleの各種サービスとGemini 2.5 Proの連携が実現および計画されており、今後の利用シーン拡大が期待される。

  • アプリケーション版Gemini
    • 有料プラン「Gemini Advanced」のユーザーは、PCやモバイルに対応したアプリケーションから、ドロップダウン方式の選択メニューからGemini 2.5 Proにアクセスできる。
  • Google AI Studio
    • Gemini 2.5 ProはAIアプリケーション開発ツール「Google AI Studio」から利用可能だ。開発者はWebブラウザから直接アクセスして使用できる。
  • Vertex AI
    • Googleの機械学習モデル構築支援ツール「Vertex AI」でも、Gemini 2.5 Proの統合が計画されている。企業は大規模なAI開発および運用に同モデルを活用できるようになる見込みだ。
  • Gemini API
    • 2025年3月時点で、Gemini 2.5 Pro向けのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)は提供されていないが、過去のバージョンがすべてAPI経由で利用可能だったことから、将来的にAPI公開される可能性が高い。

 2025年3月時点で、Gemini 2.5 Proと検索エンジン「Google検索」やオフィススイート「Google Workspace」など他サービスとの直接的な連携は発表されていない。今後統合が進むことで、利便性の向上が期待されている。

 例えば、Gemini 2.5 ProとGoogle検索が連携すれば、同モデルの高度な推論能力により、より複雑なクエリにも文脈を踏まえた的確な回答が可能になる。文書作成ツール「Googleドキュメント」との連携により、文章作成支援のさらなる高度化も期待される。

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