似た名称の役職CTO、CIO、CISOの違いを十分に理解していないと、技術的な課題に対処できなかったり、組織内のコミュニケーションに混乱が生じたりする可能性がある。それぞれの役割の違いは何か。
経営幹部(CxO)には似た名称の役職が複数ある。企業の技術分野を統括する3つの役職、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)、CISO(最高情報セキュリティ責任者)の違いは何か──。非技術系の従業員や経営陣にとって、技術に関連するこれらの役職の違いを十分に理解することは容易ではない。IT部門とセキュリティ部門のリーダー間の対立関係が、それぞれの役割の明確化をさらに難しくする恐れがある。
従業員や経営陣はCTO、CIO、CISOの違いを認識し、技術的な課題に直面した際、誰に相談すべきかを判断できるようになる必要がある。そのために知っておくべき、各役職の違いをまとめた。
CTO、CIO、CISOの主な役割は以下の通りだ。
組織運営が順調な企業では、CTO、CIO、CISOが連携して業務を遂行する。三者が協力することで、それぞれ単独で取り組むよりも価値を生み出せる可能性がある。三者の連携が欠けると、競争力の低下やイノベーションの停滞、不要なリスクの増大をもたらす。
企業は各役職の視点に立ち、どのように成果を測定するかを慎重に検討する必要がある。新しい技術の価値の可視化は、企業の予算や人材の適切な配分に欠かせない。リスクの削減や倫理的な問題の回避にも役立つ。
これらの役職が担う責務を正しく理解するためには、それぞれの役職に求められる期待を整理することが重要だ。以下の2つのポイントを考慮する必要がある。
これらを考慮した上で、人工知能(AI)技術の導入を例に取ると、CIO、CTO、CISOは以下の視点からAI技術の実装に関与する。
CTOは、AI技術が製品やサービスの価値向上にどう貢献するのかを重視する。例えば、企業の開発チームやエンジニアリングチームと協力し、大規模言語モデル(LLM)を企業向けアプリケーションに組み込む方法を検討する。その際、意思決定の軸になるのは、競争優位性を確保できるLLMの選定だ。
CIOは、AI技術を活用し、ITシステムの運用効率を向上させ、企業の目標達成を後押しする方法を考える。例えば、現在の予算や人材でAI関連のプロジェクトを遂行できるかどうかを評価する。必要に応じて業務の優先順位を見直し、AI技術導入のための予算や人材の再配分といった業務も実施しなければならない。
AI技術の導入時には、無意識なバイアスや差別のリスクを軽減するため、CIOは人事部門と協力し、多様な背景を持つIT人材をプロジェクトに参加させることを検討する。
CISOは、AI技術の導入に伴う知的財産や顧客情報の取り扱いに注意を払う。LLMのトレーニングや使用において、従業員が意図せず不適切にデータを取り扱う可能性があるためだ。
企業が法的な問題に対処できるかどうかを判断することも、CISOの主要な責務の一つだ。AIモデルのトレーニングに使用するデータセットの選定、業務の責任を負う従業員の監督などを担う。そうした従業員の業務を、AI技術を活用したシステムによって支援することもできる。
ここまでで説明したCTO、CIO、CISOの違いを表にまとめると以下のようになる。
CTO | CIO | CISO | |
---|---|---|---|
重点分野 | ・社外向けの技術戦略 | ・社内向けの技術戦略 | ・社外と社内のセキュリティとガバナンス |
主な責任 | ・ソフトウェアやハードウェアの開発など、顧客向けの製品やサービスの開発を主導する | ・ネットワークやクラウドサービスの導入、IT人材の採用など、社内向けの技術戦略の策定、実行を主導する | ・日々のネットワーク監視や継続的なセキュリティテストなどのリスク軽減策や、顧客やビジネスパートナーの情報管理を主導する |
成果を測る方法 | ・製品とサービスが差異化できているかどうか ・顧客からの継続的な支持が得られているかどうか ・開発したソフトウェアやハードウェアに汎用(はんよう)性があるか |
・システム運用を効率できているかどうか ・適切な予算編成とコスト管理ができているかどうか ・ネットワークやアプリケーションが安定して稼働しているかどうか |
・ネットワークの脆弱(ぜいじゃく)性を軽減できているかどうか ・セキュリティインシデントの被害を最小化できるかどうか ・法務部門や人事部門などと連携し、コンプライアンスを確保できているかどうか |
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「Z世代とつながるのに最適なSNS」 Xが自画自賛する最新データの正しい読み方は?
XがZ世代ユーザーに関する新たなデータを公開した。これによると、XはZ世代のオーディエ...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年3月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
読まれた投稿のうち「リンク付き」はたったの…… データが示すFacebookのリアル
Metaは「2024年第4四半期版インテグリティレポート」を公開。ここには現在のFacebookで閲...