世界各国でビジネスを展開するMars。大規模な組織が全社的にDXを進めるためには、何を重視すべきなのか。同社でDXを率いるリーダーに話を聞いた。
食品メーカーのMarsで「デジタルトランスフォーメーション」(DX)担当のリーダーを務めるマライン・グレヴィンク氏は、「企業の進化は技術の進化にすぐに先を越されてしまう」と語る。同社のDXチームは変化に追随できるよう、常にスピード感のある仕事を心掛けている。
「世界各国でビジネスを展開する企業は、ビジネスのスピードを追求することが大きな課題になる」とグレヴィンク氏は指摘する。Marsは、大きなリスクを背負ってでも未来へ投資することを重視する。「リスクはあるが、回数を重ねることで得られる学びがある」と同氏は語る。
グレヴィンク氏が所属するDXチームは、成功するために頻繁に試行錯誤を繰り返しているという。同チームは、その取り組みをチーム内だけでなく同社全体に広げることを重要視する。例えば製造現場の従業員も巻き込んで、工場の変革に向けた試行錯誤を繰り返している。「現場の視点でミッションやビジョン、戦略を正しく理解することから始まる」(同氏)
グレヴィンク氏によると、MarsのDX推進のためのロードマップは同社の製造工場と強いつながりを持つ運営委員会が作成している。ロードマップは経営層からトップダウンで押し付けるものではなく、それに関わる全ての人々が納得しなければならない。そのために最初から製造工場を巻き込むようにしているのだという。
グレヴィンク氏によると、製造工場の従業員が取り組みやすい課題をDXチームが設定して、その達成を従業員に積み重ねてもらうという取り組みを実施している。DXチームのメンバーは工場の制御室や製造ラインで従業員の隣に座り、従業員には試験的な取り組みを実施してもらう。そこから得たフィードバックをアプリケーションの開発者に伝え、改善につなげる。
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