同族経営を続ける食品メーカーMarsは、DX推進に舵を切った。同社はDXを進めるに当たり、3つの要素を重視する。その具体的な中身とは。
チョコレート菓子などの食品やペットフードの事業を世界各国で展開するMars。同社は同族経営(ファミリービジネス)を続けていることから、四半期単位ではなく世代単位での経営を重視する。同社は長期的な視点を重視しつつも、昨今の目まぐるしく変化するビジネス環境の中では、迅速にビジネスを展開させる必要に迫られている。
オランダの拠点でMarsの「デジタルトランスフォーメーション」(DX)のリーダーを務めるマライン・グレヴィンク氏は、「短期間でビジネスの解を出すのは難題だ」と話す。同社がDXを進める狙いは、変化に強い組織を構築することにある。
DXを進めるに当たり「直観ではなくデータを重視する組織に移行することが重要だ」とグレヴィンク氏は言う。従業員が各自の専門性とデータに基づいた意思決定を下せるようになり、それに加えて単調な業務をしなくて済むようになることが必要だと同氏は考える。
グレヴィンク氏によると、DXを成功させるには3つの要素が必要だという。灯台を使って例えるなら、「土台」「上部構造」「標識」だ。これらのうち1つでも欠ければ、灯台にならない。同氏は灯台の要素にひも付けて、Marsの取り組みを以下のように表す。
従業員を奮い立たせるためには、会社やチームが目指すことのできる明確なミッションを設定することが不可欠だとグレヴィンク氏は述べる。一方、ミッションがあるからといって安心してはいけないとも同氏は指摘する。「イノベーションを起こすためには失敗も受け入れなければならない」
後編は、MarがDXを進めるに当たって重視している「巻き込むべき人」を探る。
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