AWSやMicrosoftといったクラウドベンダーが、宇宙でのクラウドコンピューティング活用に活路を見いだしている。宇宙空間に漂う「宇宙ごみ」の問題解決をはじめ、どのような分野に期待を寄せているのか。
「宇宙ごみ」(スペースデブリ)は、使い終わった人工衛星など、軌道を周回する不要物だ。宇宙ごみが放置されると、宇宙船や宇宙飛行士などと衝突事故を起こす可能性がある。
宇宙関連技術を扱うスタートアップ(新興企業)LeoLabsは、宇宙ごみの問題解決につながるシステムを開発中だ。同社はそのシステムにクラウドコンピューティングを活用することにした。
LeoLabsは当初、宇宙空間にある物体と人工衛星が衝突する可能性を予測する衝突予測システムを、オンプレミスのインフラで運用していた。その状況では、2つの物体の衝突の可能性を計算するのに最大8時間かかっていた。そこで同社は衝突予測システムの構成としてクラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)のコンピューティングサービスを採用。これにより、予測に必要な計算時間を10秒に縮めることに成功。人工衛星のオペレーターは、衝突を回避できる時間内に人工衛星の進路を迅速に調整できるようになった。
「これこそリアルタイムの宇宙交通管理だ。クラウドコンピューティングと機械学習(ML)技術による計算処理が、宇宙ごみの問題を解決する成果をもたらした」。AWSで航空宇宙および人工衛星事業部門のディレクターを務めるクリント・クロシエ氏はそう話す。
AWSの競合相手であるMicrosoftも、自社のクラウドサービスを宇宙用アプリケーションに活用することに意欲を示す。Microsoftはオーストラリアで、通信機器メーカーNokia、南オーストラリア州政府、オーストラリア機械学習研究所とチームを組み、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)技術、コンピュータビジョン(コンピュータが画像や映像から情報を引き出す技術)などを宇宙産業に活用する方法を模索している。
Microsoftは、以下の分野でクラウドコンピューティングが役立つとみている。
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