人々が宇宙に滞在する未来に向けた実験に、国際宇宙ステーション(ISS)とクラウドサービスを接続するシステムが活躍している。具体的にどのような仕組みなのか。
宇宙をより多くの人々が訪れる将来に向けた実験が進んでいる。その研究用のコンピュータとして、国際宇宙ステーション(ISS)にはHewlett Packard Enterprise(HPE)のエッジコンピューティングシステム「Spaceborne Computer-2」が配備されている。Spaceborne Computer-2はネットワークでクラウドサービス群「Microsoft Azure」と接続する。
前編「宇宙からのクラウドバースト? 国際宇宙ステーション(ISS)のゲノム解析方法」で紹介した通り、Spaceborne Computer-2は放射線被ばくが宇宙に滞在する人に及ぼす影響を調べる実験に使われている。
ヒトゲノム(ヒトの遺伝情報)の配列は約30億個の塩基対から成る。ISSからこのデータを地球に転送するための時間は週当たり2時間、データのダウンロード速度は最大で毎秒250KBの帯域幅しか割り当てられていない。
この狭い帯域幅への対策として、ヒトゲノムのほとんどの解析はISSで実施されている。さらに精査が必要な異常を含むヒトゲノムのセグメントだけがISSからAzureに送信される。Microsoftのブログによれば、地球にデータが届いた後は世界中の科学者がAzureの何百台ものコンピュータと専用のアルゴリズムを使ってヒトゲノムを解析する。
ISSのSpaceborne Computer-2は、無重力状態で作物がどのように育つのかを調べるものなど、これまで4つの実験に使われている。こうした宇宙空間での実験にHPEやMicrosoftの「既成」の技術やサービスが使われていることは興味深い事実だ。「今後より多くの人々が宇宙を訪れるというトレンドの一部を担っている」とMicrosoftはブログに記している。
宇宙に関する事業には非常に費用がかかるため、かつては州や国が主導することが普通だった。だが状況は変わっている。Microsoftの宇宙事業を率いるスティーブ・キタイ氏は次のように話す。「宇宙は大きな変革期の真っただ中にある。宇宙の商業化が急速に進み、企業に新たなチャンスが開かれている」
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