大手自動車販売会社のInchcapeはクラウドERPの「RISE with SAP」を導入し、そのインフラとして「GCP」を採用した。Inchcapeがクラウドサービス活用を進める理由と、同社のデータ活用に関する取り組みを説明する。
世界中でVolkswagen(フォルクスワーゲン)や本田技研工業(ホンダ)、BMWといった自動車メーカーの自動車販売を手掛けるInchcapeは、SAPがクラウドサービスとして提供するERP(統合業務)パッケージ「RISE with SAP」を新たに採用した。RISE with SAPの中核要素はSAPのERPパッケージ「SAP S/4HANA」だ。インフラとしてGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)を利用する。
Googleは声明で、InchcapeがGCPとRISE with SAPを導入することで実現できることについて述べている。その一つが、さまざまなデータソースから収集したデータを一元化して分析することだ。「SAP S/4HANAで取得したデータを分析するために、GCPのAI(人工知能)技術や分析技術を用いることもできる」と、Googleは説明する。
「GCPとSAPの緊密な関係は、当社のデータ分析の取り組みを推進した」と、Inchcapeの最高デジタル責任者を務めるマーク・ディアンリー氏は語る。同社はRIZE with SAPを導入することで、ビジネスに役立つ洞察を得たい考えだ。
Inchcapeは同社が利用するSAPの人事管理システム「SAP SuccessFactors」でも、RIZE with SAPのデータを活用しようとしている。SAPは「InchcapeはSAP SuccessFactorsのデータを利用して、福祉とサステナビリティの文化を形成し、多様性や健康、経済成長、男女平等といった課題の解決を目指すことができる」と述べる。
SAP UK & Irelandのマネージングディレクター、マイケル・バーホーベン氏は「自動車市場はデジタル化に向かうための重要な岐路に立たされている」と語る。同氏はInchcapeがRIZE with SAPを採用することで、ITインフラの運用管理コストを大きく減らし、財務効率を向上させることが期待できるとアピールする。
GoogleのGoogle Cloud部門で全世界の自動車、製造、エネルギー分野のマネージングディレクターを務めるドミニク・ウィー氏は、「自動車市場のリーダーで居続けるために、InchcapeはSAP製品のクラウドサービスへの移行を加速させている」と述べる。ウィー氏によるとInchcapeは、クラウドサービスのデータ分析機能で高速なデータ処理を実現しつつ、優れた洞察を獲得しようと努めている。
SAPが提供するサービスに加え、GCPやそのパートナーが提供するサービスも「クラウドサービス活用の技術的な障壁を取り除くのに役立つ」とウィー氏は語る。「こうしたサービスを利用することで、Inchcapeはデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のためのインフラを構築できる」(同氏)
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ある調査によると、67.4%の企業が「SaaS製品の導入に失敗した経験がある」と回答しているという。そんな中、適切な選定・導入を支援するマッチングサービスが注目を集めている。本資料では、サービスの特徴や運用の流れを紹介する。
Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどクラウドネイティブ環境のセキュリティを強化するには何をすればよいのか。ログの収集や分析を高度化するためのベストプラクティスを解説する。
AWSを活用する企業にとって、クラウドアーキテクチャの基本と実践的なポイントを理解することは不可欠だ。そこで、需要に応じたスケーリングの方法や、障害を前提としたマルチAZ構成の手法など、AWS活用のベストプラクティスを紹介する。
BroadcomによるVMware買収を受けて、VMware製品から代替製品への移行を検討する動きが広がっている。その背景にある企業の本音と、有力な移行先として注目される製品とは。
システムのパブリッククラウド移行が進む一方で、パブリッククラウドからオンプレミスに戻る「オンプレミス回帰」を選ぶ企業が相次いでいる。背景には何があるのか。パブリッククラウドとオンプレミスシステムの違いとは。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...