「GCP」と「RISE with SAP」を組み合わせて使う自動車販売会社 その狙いとは?フォルクスワーゲン、ホンダなどの自動車販売会社Inchcapeのデータ活用【後編】

大手自動車販売会社のInchcapeはクラウドERPの「RISE with SAP」を導入し、そのインフラとして「GCP」を採用した。Inchcapeがクラウドサービス活用を進める理由と、同社のデータ活用に関する取り組みを説明する。

2021年10月26日 05時00分 公開
[Brian McKennaTechTarget]

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 世界中でVolkswagen(フォルクスワーゲン)や本田技研工業(ホンダ)、BMWといった自動車メーカーの自動車販売を手掛けるInchcapeは、SAPがクラウドサービスとして提供するERP(統合業務)パッケージ「RISE with SAP」を新たに採用した。RISE with SAPの中核要素はSAPのERPパッケージ「SAP S/4HANA」だ。インフラとしてGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)を利用する。

GCPとRISE with SAPを組み合わせるInchcapeの狙いとは

 Googleは声明で、InchcapeがGCPとRISE with SAPを導入することで実現できることについて述べている。その一つが、さまざまなデータソースから収集したデータを一元化して分析することだ。「SAP S/4HANAで取得したデータを分析するために、GCPのAI(人工知能)技術や分析技術を用いることもできる」と、Googleは説明する。

 「GCPとSAPの緊密な関係は、当社のデータ分析の取り組みを推進した」と、Inchcapeの最高デジタル責任者を務めるマーク・ディアンリー氏は語る。同社はRIZE with SAPを導入することで、ビジネスに役立つ洞察を得たい考えだ。

 Inchcapeは同社が利用するSAPの人事管理システム「SAP SuccessFactors」でも、RIZE with SAPのデータを活用しようとしている。SAPは「InchcapeはSAP SuccessFactorsのデータを利用して、福祉とサステナビリティの文化を形成し、多様性や健康、経済成長、男女平等といった課題の解決を目指すことができる」と述べる。

 SAP UK & Irelandのマネージングディレクター、マイケル・バーホーベン氏は「自動車市場はデジタル化に向かうための重要な岐路に立たされている」と語る。同氏はInchcapeがRIZE with SAPを採用することで、ITインフラの運用管理コストを大きく減らし、財務効率を向上させることが期待できるとアピールする。

 GoogleのGoogle Cloud部門で全世界の自動車、製造、エネルギー分野のマネージングディレクターを務めるドミニク・ウィー氏は、「自動車市場のリーダーで居続けるために、InchcapeはSAP製品のクラウドサービスへの移行を加速させている」と述べる。ウィー氏によるとInchcapeは、クラウドサービスのデータ分析機能で高速なデータ処理を実現しつつ、優れた洞察を獲得しようと努めている。

 SAPが提供するサービスに加え、GCPやそのパートナーが提供するサービスも「クラウドサービス活用の技術的な障壁を取り除くのに役立つ」とウィー氏は語る。「こうしたサービスを利用することで、Inchcapeはデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のためのインフラを構築できる」(同氏)

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