今や製造や医療、教育の分野に広がる「モノのインターネット」(IoT)。その原点は人類を月に送る「アポロ計画」のために開発された技術にあるという。それはどういうことなのか。
「モノのインターネット」(IoT)という言葉の生みの親とされるケビン・アシュトン氏は、1999年のプレゼンテーションで初めてこの言葉を使ったと言われている。だが、その背後にある発想はそれより何十年も昔にさかのぼる。それがリアルタイム組み込みデジタルコンピュータ「アポロ誘導コンピュータ」(AGC:Apollo Guidance Computer)だ。
人類を月に送る「アポロ計画」で、1969年に月面着陸を果たした宇宙船「アポロ11号」(Apollo 11)の制御に使われたのがAGCだ。その機能は限られていたが、部屋サイズの大きさだった当時のコンピュータから、現在の極小センサーに至るきっかけとなった。
アポロ計画のエンジニアは宇宙船の限られた空間に収まるようにコンピュータを小さくしなければならなかった。アポロ11号のミッション成功は、旅客機や戦闘機、金融分野における小型コンピュータの活用につながった。コンピュータの進歩は人工衛星の性能向上にも貢献した。
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