次はクラウドゲーミング
ゲーム業界成功の裏でIoTが果たした役割 「Fortnite」が世界的にヒットしたのはなぜか
モノのインターネット(IoT)の仕組みを活用したことでゲーム業界に新たなトレンドが生まれ、業界が活性化した。IoTのどのような要素がゲーム業界を変化させたのだろうか。
モノのインターネット(IoT)の登場によってゲーム業界の景色が一変した。オンラインゲームからソーシャルチャンネルやeスポーツの新潮流が生まれ、それらはデジタルコンテンツの流通ネットワークに乗って急速にゲーマーの間に広がった。ゲームの開発者やパブリッシャー、ゲーマーは、全世界を舞台にしたデジタルの世界を体験している。そして今後もIoTの影響による変化を経験するだろう。
IoTがゲーム業界に与える影響について、ゲーム関連企業「Playgroundz」の開発責任者、マイケル・ヤム氏に話を聞いた。
――IoTはゲーム業界にどのように取り入れられたのでしょうか。ゲーム業界にとってIoTの何が魅力になっているのでしょうか。
マイケル・ヤム氏(以下、ヤム氏) オンラインゲームが登場したことで、世界中のプレイヤーがゲーム機とゲームソフトを通じてつながった。そしてバトルロイヤルゲームのような新ジャンル、eスポーツのような新市場、「Twitch」のような新プラットフォームが生まれた。IoTを組み合わせることで、それまでのゲーム業界の常識では想像できなかった方法でゲーム会社は収益を上げられるようになった。デジタルコンテンツを流布、拡散させるデジタルディストリビューションの仕組みも貢献し、市場の成長が加速した。こうしてゲーム市場に新たな収益の源が次々に生じた。
ゲーム会社はゲーム機を中心としていた従来の事業に比べて、オンラインゲームでは商品の原価を抑制できるようになり、ゲーム市場における事業リスクが低減した。これはゲーム業界にとって極めて魅力的なことだ。さらにクラウドによるゲームストリーミングの仕組みが登場したことで、開発者やパブリッシャーは特定のデバイスを持たなくても、プレイヤー同士を結び付けることが可能になった。
――ゲーム業界におけるIoTの仕組みの活用例を具体的に教えてください。
ヤム氏 いい例があるので紹介しよう。Microsoftのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で、ゲームソフトの開発ができる。Microsoft Azureはあらゆるデータ量、速度のゲーム開発を支えてくれる。Microsoftは「Azure DocumentDB」「Azure App Services」「Azure Service Fabric」といったサービスをリリースした。これらの機能によって、最新のゲームで求められるリアルタイム分析などの機能を実現できる。リアルタイム分析の機能を応用することで、ゲーム中でより濃密な体験をプレイヤーに提供できる。開発者はゲームのプレイヤーから収集したデータをリアルタイムで分析、処理し、他のプレイヤーへとデータを伝達する。この仕組みにより、たとえ一緒にプレイしていなくても、同時にプレイしているかのような「ライブ体験」を演出できるようになった。「Halo」や「Forza」シリーズといったゲームは、プレイヤーに他のプレイヤーとつながっている感覚を提供する。
成功事例が新たに出てくれば、ゲーム業界はすぐにそのモデルを取り入れ、同様のサービスが急速に広がるだろう。
――ゲーマーにとってのIoTのメリットは何でしょうか。
ヤム氏 ゲーマーはさまざまな点でIoTの恩恵を受けるが、それよりも重要なことは、IoTがゲーマーに影響力を与えたということだ。このことがゲームのエコシステムを一変させた。例えば、オンラインゲーム「Fortnite」のストリーマー(プレイ動画配信者)であるNinja氏は、その社会的影響力を世界的に認められるようになった。これはゲーム機やPC、モバイルデバイスなど、さまざまなデバイスでFortniteの世界中のプレイヤーを結び付けることが可能になったためだ。さらにはTwitchや「YouTube」といった動画配信サービスが、プレイヤーとその観客との新たなつながりを生み出している。このように、ゲームやデバイス、プラットフォームとゲーマーをつなぐことで、あらゆる可能性が生まれている
――ゲーム業界におけるIoTの今後の役割は何でしょうか。
ヤム氏 ゲームをストリーミング配信するクラウドゲーミングではないだろうか。「iOS」や「Android」のデバイス、「プレイステーション 4」や「Xbox One」といったゲーム機がなくても、開発者はクラウドによってゲーマーと直接つながれる。開発者はゲーム機メーカーなどゲームのプラットフォーム事業者の許可がなくてもゲームをリリースしたり、アップデートしたりできる。これは開発スケジュールの管理や、収益性という面で開発者にとってメリットになる。一般的に、ゲームを配信するにはプラットフォーム事業者に対して約30%のロイヤルティーを支払う必要があるが、クラウドゲーミングであればその必要がなくなる。Fortniteはゲームとしては初めて、「Google Play ストア」を介さずにAndroidデバイス向けに配信を開始した。Netflixはモバイルアプリケーションを介したサブスクリプション料金の徴収をやめた。ゲームの開発者はより自由な環境を求めている。IoTとクラウドで、その自由は実現できるだろう。
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