「クレジットカード決済の優位性を失わせる」との声もあるオープンバンキング決済に、大手クレジットカードブランドVisaやMastercardが注力している。両者の意図とは何なのか。
大手クレジットカードブランド会社のVisaおよびMastercardが、「オープンバンキング」を手掛けるFinTech(金融とITの融合)企業の買収を相次いで発表し、オープンバンキングの飛躍的な発展に弾みがついた。オープンバンキングは、金融機関が持つデータを外部企業が利用できる仕組みだ。Visaは2021年6月にTinkを18億ユーロで買収することで合意したと発表し、Mastercardは2021年9月にAiiaの買収を発表した。
調査会社Juniper Researchは、オープンバンキングのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)による決済が、クレジットカード決済の優位性を失わせる可能性があると予想している。だとすれば、クレジットカードブランド会社がオープンバンキング機能の獲得に動くのは、驚くに当たらない。
オープンバンキングは消費者の理解不足から敬遠されがちだ。VisaとMastercardは強力なマーケティング力を生かし、オープンバンキングをさらに広く普及させるとともに、技術開発に大規模な予算と人員を投入してオープンバンキングの機能を進化させる可能性がある。
「Mastercardの企業力や流通規模と、われわれが持つ技術を組み合わせることで、大きなスタートを切ることが可能になった」。MastercardによるAiiaの買収計画の発表を受けて、Aiiaの共同創業者でCEOのルーン・マイ氏はこう語った。マイ氏はAiiaについて「急成長を目指している」と語る一方、「規模の拡大によって多くの顧客を獲得し、われわれの技術の向上につなげることも目指している」と説明する。
VisaによるTinkの買収計画の発表を受けて、Tinkの共同創業者でCEOのダニエル・チェーレン氏は次のように述べている。「われわれは素晴らしいものを作ってきたが、まだ表面をなぞっただけにすぎない。Visaに加わることで、われわれはこれまで以上に速く進歩し、遠くまで到達できるようになる」
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
生成AIを業務で使わないマーケターはもはや3割以下 御社はどうする?
HubSpot Japanが日本で実施した調査によると、日本のマーケターの8割以上が従来のマーケ...
新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...
ブラックフライデーのオンラインショッピング 日本で売り上げが大幅に増加した製品カテゴリーは?
Criteoは、日本国内のブラックフライデーのオンラインショッピングに関する分析結果を発...