ソフトウェアエンジニアの83%が燃え尽き症候群に苦しんでいるという。その原因は何か。燃え尽き症候群を防ぐにはチームにある文化を取り入れる必要があるという。
2021年初め、HaystackAnalyticsとSurvationが開発者の燃え尽き症候群に関する共同調査を行った。これまでも開発者コミュニティーにアンケート調査する試みはあったが、ソフトウェアエンジニアを理解するために世論調査が使われたのは初めてのことだ。
燃え尽き症候群についての結果は衝撃的だった。燃え尽き症候群に苦しんでいると答えたソフトウェアエンジニアは83%に上った。燃え尽き症候群の原因として挙げられたのは、高い作業負荷(47%)、非効率なプロセス(31%)、不明確な目標や目的(29%)などさまざまだった。
コロナ禍がこの傾向を悪化させており、開発者の81%がコロナ禍による燃え尽き症候群を訴えている。
その理由は何か。
ソフトウェアエンジニアは、社会を立て直す上で自分が重要な役割を果たしていると気付いていた。ロックダウン中に結び付きを維持することから接触追跡アプリケーションまで、あらゆることがソフトウェアエンジニアの作業負荷を増やした。
GoogleのDORA(DevOps Research and Assessment)チームは「State of DevOps」レポートで、ソフトウェアエンジニアリングのパフォーマンス向上にとって重要な特性を報告している。DORAチームはソフトウェアの信頼性向上と燃え尽き症候群の防止を挙げ、最高のパフォーマンスにとって重要な因子の一つは心理的安全性だとした。DORAチームの調査によると、チーム文化に心理的安全性を組み込むと燃え尽き症候群の可能性が半減するという。
これはPuppetによる追加調査が補完している。「リスクを回避していると主張する企業の多くは、結果的にリスクを高めるプラクティスに従っている」
心理的安全性はパフォーマンスにとって不可欠だ。英国のEngineering Councilなどはリスクに関する専門ガイダンスでこれを繰り返し唱えている。筆者は最近執筆した「EngProd 2021:A Review on the State of Developer Productivity」で、心理的安全性のメリットに関する本質的な証拠を明らかにした。
チームのパフォーマンスを高めるために、生産性のプラクティスに目を向け始める企業が増えている。チームのパフォーマンスを測定してボトルネックを見極め、パフォーマンスを妨げている要因を取り除くプロセスには心理的安全性が必要だ。
ソフトウェアエンジニアが信頼性の高いソフトウェアを作成するには、リスクと恩恵という相反する力のバランスを取りながら、リスクが軽減されていないことに警告を発することを恐れてはならない。ビジネスを成長させるには、リスクを計算してバランスを取る必要がある。リスクを取らなければ恩恵を得ることもできない。
ソフトウェアエンジニアにとって、知識の限界を認めることを恐れる上司や間違いを認めない上司は大きな警告のサインだ。仕事の面接では、上司となる人物に次のように問うことが重要だ。「知らないことに最後に出会ったのはいつですか」「最後にミスしたときのことを教えてください」
この質問によってチャンスがつぶれることを恐れてはいけない。リスクを計算して得た成功は恩恵を受けるべきだ。フィードバックを提供するだけでなく、受け取ることも必要だ。指導者が過ちや知識の限界を認めることができない文化は、エンジニアにとっては危険信号だ。優れた指導者には、自分の人間性を受け入れる謙虚さがある。
筆者のエンジニアリング管理職としてのキャリアから見ると、エンジニアリングチームの心理的安全性を育成する基本は上司が自分の過ちを認め、自分の仕事についてのフィードバックを受け入れることだ。
ソフトウェアエンジニアリングチームを成功に導くには多くのことが必要だが、エンジニアがリスクを安全に報告できる場を用意しなければ上司にもサポートする場がないだろう。
ジュネード・アリ氏は、HaystackAnalyticsでソフトウェアエンジニアリング部門のマネジャーを務め、メンターとなるエンジニアリングリーダーを支援している。
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