「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM)がもたらすメリットはさまざまだ。社内だけではなく、実は社外向けの取り組みにもBPMによる改善効果があるという。主なメリットを整理する。
IT活用によってビジネスプロセスの自動化を図るとともに、ビジネスプロセスそのものも見直して改善を目指すのが、「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM:Business Process Management)だ。企業はBPMに取り組めば、さまざまなメリットを享受できる。具体的には、どのようなメリットがあるのか。今回はBPMの6つのメリットのうち、2つ目から4つ目を取り上げる。
企業がビジネスプロセスを標準化せず、各担当者の裁量に任せれば、ビジネスプロセスの属人性が高まる。そのためビジネスプロセスが非効率になる恐れがある。予算管理やルール策定、セキュリティ確保など、部署ごとにさまざまな要件が増えることにもつながる。ERP(統合業務)パッケージやCRM(顧客関係管理)パッケージといった、ベストプラクティスを基にしたシステムの導入が難しくなる可能性もある。
BPMは「手順」や「データ」に関して個人に依存しない、より体系的なアプローチを取る。ITコンサルティングを手掛けるSynoptekのバーチャルCIO(最高情報責任者)兼デジタルトランスフォーメーション担当ディレクター、モンティ・スタッグズ氏は、「ビジネスプロセスをきめ細かく定義すれば、企業は社内外にわたるビジネスプロセスをしっかり管理できるようになる」と述べる。
企業は「ビジネスプロセスの理解と管理を改善すれば、変化に即応しやすくなり、新しい商機をつかみやすくなる」とスタッグズ氏は指摘する。近年では、クラウドサービスの普及や人工知能(AI)技術の進化、さまざまな規制の変更など、企業を取り巻く環境が著しく変化している。そうした中、企業はBPMに取り組んで機敏性の向上を図れば、動きが遅い「レガシー企業」(伝統にこだわる企業)と比べて有利性を高められる。「変化に適応できない企業は、最終的には滅びる」とスタッグズ氏は言う。
調査会社Info-Tech Research Groupのシニアリサーチアナリストを務めるダナ・ダエア氏によると、BPMはサービスや顧客体験の改善を図る上で、企業にさまざまなメリットをもたらす。例えば下記のことができるという。
後編は、5つ目の「“無駄遣い”の徹底排除」と6つ目の「“縦割り文化”からの脱却」を見る。
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