ビジネスプロセスマネジメント(BPM)は“属人化の塊”のような会社にこそ必要BPMに取り組むべき「6つのメリット」【中編】

「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM)がもたらすメリットはさまざまだ。社内だけではなく、実は社外向けの取り組みにもBPMによる改善効果があるという。主なメリットを整理する。

2022年12月01日 05時00分 公開
[George LawtonTechTarget]

 IT活用によってビジネスプロセスの自動化を図るとともに、ビジネスプロセスそのものも見直して改善を目指すのが、「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM:Business Process Management)だ。企業はBPMに取り組めば、さまざまなメリットを享受できる。具体的には、どのようなメリットがあるのか。今回はBPMの6つのメリットのうち、2つ目から4つ目を取り上げる。

2.“あの人がいないと何も進まない”の排除

会員登録(無料)が必要です

 企業がビジネスプロセスを標準化せず、各担当者の裁量に任せれば、ビジネスプロセスの属人性が高まる。そのためビジネスプロセスが非効率になる恐れがある。予算管理やルール策定、セキュリティ確保など、部署ごとにさまざまな要件が増えることにもつながる。ERP(統合業務)パッケージやCRM(顧客関係管理)パッケージといった、ベストプラクティスを基にしたシステムの導入が難しくなる可能性もある。

 BPMは「手順」や「データ」に関して個人に依存しない、より体系的なアプローチを取る。ITコンサルティングを手掛けるSynoptekのバーチャルCIO(最高情報責任者)兼デジタルトランスフォーメーション担当ディレクター、モンティ・スタッグズ氏は、「ビジネスプロセスをきめ細かく定義すれば、企業は社内外にわたるビジネスプロセスをしっかり管理できるようになる」と述べる。

3.機敏性の向上

 企業は「ビジネスプロセスの理解と管理を改善すれば、変化に即応しやすくなり、新しい商機をつかみやすくなる」とスタッグズ氏は指摘する。近年では、クラウドサービスの普及や人工知能(AI)技術の進化、さまざまな規制の変更など、企業を取り巻く環境が著しく変化している。そうした中、企業はBPMに取り組んで機敏性の向上を図れば、動きが遅い「レガシー企業」(伝統にこだわる企業)と比べて有利性を高められる。「変化に適応できない企業は、最終的には滅びる」とスタッグズ氏は言う。

4.顧客体験の改善

 調査会社Info-Tech Research Groupのシニアリサーチアナリストを務めるダナ・ダエア氏によると、BPMはサービスや顧客体験の改善を図る上で、企業にさまざまなメリットをもたらす。例えば下記のことができるという。

  • システムへの情報入力作業が多く、サービス担当者が本業に取り組む時間を確保しにくくなっていないかどうかをチェックする
  • 複数のソースから顧客情報を自動的に収集し、重複をなくして分析する
  • サービス提供の複雑なプロセスがどこまで進んでいるかを特定した上で、次のステップとしてどのようなアクションが必要かを迅速に把握する
  • 顧客に納品する製品/サービスの開発・製造プロセスや品質を改善する

 後編は、5つ目の「“無駄遣い”の徹底排除」と6つ目の「“縦割り文化”からの脱却」を見る。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

7つのユースケースで探る、リスク/コンプライアンス管理の課題と解決策

企業がビジネス規模を拡大し、サプライチェーンやビジネスパートナーとの協業が進んだことで従来型のリスク/コンプライアンス管理の限界が露呈しつつある。リスク管理を次のステップに進めるためには、これまでと異なる仕組みが必要だ。

事例 ServiceNow Japan合同会社

1年で顧客離脱率が20%低下、Lenovoは自社サービスの価値をどう高めたのか?

Lenovoでは、顧客デバイスのライフサイクル管理を支援するDevice as a Serviceを世界中に提供している。しかし、そのオペレーションは複雑であり、顧客エクスペリエンスを高めるために改善が必要だった。同社が採った改善策とは。

製品資料 LRM株式会社

“惰性”から脱却して効果を上げる、年間を通じたセキュリティ教育計画の立て方

セキュリティリスクが増大している今日において、社内のセキュリティ教育は必須のタスクとなっている。しかし、セキュリティ教育それ自体が目的化してしまい、確実な効果を上げられていないケースも多い。

製品資料 LRM株式会社

進化するサイバー攻撃に対応、セキュリティ教育を見直すための3つのポイント

日々進化するサイバー攻撃から自社を守るためにも、時代の変化やトレンドに応じてセキュリティ教育を見直すことが必要だ。その実践ポイントを「目的の再確認」「教育の実施状況の分析」「理解度・定着度の測定」の3つの視点で解説する。

製品資料 株式会社ブレインパッド

DX推進を見据えた「データ活用人材」を社内で育てるための効果的な方法とは?

データ活用人材を社内で育成するためには、「DX推進者」や「分析実務者」などの役割に応じたスキル定着が欠かせない。効果的な育成を行う方法として、あるデータ活用人材育成サービスを取り上げ、その特徴や事例を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。