データセンターを高効率に冷却する「TEC」技術への注目が集まっている。空冷式や水冷式と比べた場合のTECのメリットとデメリットとは何か。主な冷却用途と併せて解説する。
熱電効果(熱エネルギーと電気エネルギーの相互作用)を活用した冷却技術「サーモエレクトリッククーリング」(Thermoelectric Cooling:TEC)を利用することで、従来の空冷式や水冷式などに比べてより効率よくデータセンターを冷却できる可能性がある。TECの仕組みを利用して、電気の力で熱を移動させる装置を「TECデバイス」と呼ぶ。TEC技術およびTECデバイスを利用するメリットとデメリットを解説する。
TEC技術およびTECデバイスを導入するメリットは次の通り。
TECには以下のデメリットがある。
TECデバイスの冷却能力は放熱側と吸熱側の温度差が大きいほど高くなる。放熱側は通常、環境温度に近くなるため、屋外や直射日光下のような周囲温度が高い環境では、十分な冷却性能を得ることが難しい場合がある。
ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)が定めるガイドラインでは、データセンター室内の適温の範囲は18~27℃となっているので、データセンターでの使用の際にこの点は問題になりにくい。さまざまな環境を経由する光ファイバーケーブルによる長距離ネットワークではこの点が問題となる可能性がある。
現状、TECデバイスは200~300ワット相当の熱量の冷却用途で最も効果を発揮する。しかし、これでは標準的なサーバラックの冷却には不十分だ。データセンターの標準的なサーバラックでは、5キロワットから40キロワット相当、あるいはそれ以上の熱量があると考えられるので、冷却力が大幅に足りない。加えて、熱源から吸熱した熱はTECデバイスの放熱側に移動するため、放熱側の熱を空冷か液冷で回収する必要がある。
TEC装置を大きくすると高価になる。従来の空冷、液冷システムよりも消費電力量も大きくなる可能性もある。
TECの主な用途は以下の通り。
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