ネットワークのパケットを収集して分析する定番ツールに「Wireshark」と「tcpdump」がある。パケットを分析するための両者の特徴と操作方法などを解説する。違いは何か。
ネットワークの流れは、水道管を流れる水のようなものだ。もし、水道管を流れる水の経路や個々の水滴の状態まで確認できればどんなに便利だろうか。これを実現するツールがパケットキャプチャーツールだ。ネットワークアナライザー、パケットスニファーと呼ばれることもある。
ネットワーク管理者がネットワークを適切に運用するためには、パケットキャプチャーツールは欠かせない。有名なツールとしては「Wireshark」と「tcpdump」がある。両者の違いを確認しよう。
Wiresharkとtcpdumpはどちらもネットワークのパケット(ネットワークを流れる分割されたデータ)をキャプチャー(データとして保存すること)する。ネットワーク管理者は、使用しているプロトコルやIPアドレスなどの情報を得ることができる。
Wiresharkとtcpdumpの目的は似ているが、それぞれ異なる動作をし、ユースケース(想定される使用例)も異なる。
例えばUI(ユーザーインタフェース)について、WiresharkはGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)とCLI(コマンドラインインタフェース)の両方で操作できるが、tcpdumpはCLIでのみ利用できる。
それぞれのツールの特徴を詳しく見ていこう。
Wiresharkはtcpdumpと比較すると、以下の特徴がある。
Wiresharkは、レイヤー2(データリンク層)とレイヤー3(ネットワーク層)のヘッダーとペイロード(データから宛先などの制御情報を除いた本体)を区別し、パケットに関する情報をネットワーク管理者に表示する。Wiresharkはリアルタイムでパケットの情報を表示しつつ、キャプチャーしたデータを保存できるため、ネットワーク管理者は後で詳細に分析することが可能になる。ネットワークの規模が大きくなり複雑になるほど、キャプチャーするデータも膨大になる。ネットワーク管理者はWiresharkのフィルタリング機能を利用して効率的にデータを分析できる。
WiresharkはOSの「UNIX」と「Windows」にインストール可能だ。ネットワーク管理者はWiresharkを利用して以下の情報などを得られる。
通信やファイルが暗号化されていない場合、Wiresharkを利用してデータの中身を見ることができるため、メールの宛先や本文、印刷したいファイルなどを確認できる(図1)。
Wiresharkを利用する手順は次の通り。
WiresharkはGUIで操作できる他、コマンドラインツール「TShirk」が付属している。TShirkによってCLIからWiresharkと同様のパケットキャプチャーや分析が可能となる。
Wiresharkとは異なり、tcpdumpはCLIでのみ利用できるパケットキャプチャーツールであり、コマンドの名前だ。CLIからコマンドとパラメータやオプションによって操作できる。一部のOSにはあらかじめtcpdumpがインストールされている。
特定のインタフェース(ここではeth0)を流れるパケットをキャプチャーし、その結果をファイル(dump.pcap)に保存するには以下のコマンドを使用する(図3)。
$ tcpdump -i eth0 -w dump.pcap
キャプチャーを終了するには、「Ctrl」「C」を同時に入力する。
代表的なオプションは以下の通り。その他、詳細なコマンドはtcpdumpの公式ドキュメントを参照することが望ましい。
次回はWiresharkとtcpdumpのユースケースを解説する。
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