英国政府によると、ロシアとウクライナの和平交渉が進む中、英国がロシアのサイバー攻撃の標的となる恐れがあると明らかにした。しかし、同センターが挙げる攻撃主体はロシアだけではない。
ウクライナとロシアの和平交渉が進展すれば、英国がロシアによるサイバー攻撃や物理的な破壊工作の標的になる恐れがある――。英国のセキュリティに関する政府機関である国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は2025年5月、英国に対するサイバー攻撃に関して、ロシア政府の関与が疑われると発表した。しかし、英国を標的とするのはロシア以外にも存在する恐れがある。
NCSCのCEO、リチャード・ホーン氏は、英国に対するロシアの物理的脅威とサイバー攻撃の間には「直接的な関係」があると指摘する。2024年10月には、英情報局保安部(MI5)長官、ケン・マッカラム氏が、英国で発生した放火をはじめとした破壊工作にロシアの軍参謀本部情報総局(GRU)が関わっていると発表した。
ホーン氏は、ロシアが平和交渉で優位な立場を得るため、ウクライナや英国をはじめとしたウクライナの支援国に対してサイバースパイ活動を強化していると語る。「GRUは活動の中でも特に破壊活動の実行に重点を置いており、犯罪者に実行役を担わせて身代わりにしている。こうした脅威は英国民の人命、インフラ、国家安全保障を危険にさらす」(同氏)
2025年5月にNCSCが開催したサイバーセキュリティに関する年次カンファレンス「CyberUK」で、ホーン氏は講演した。その際、サイバーセキュリティの役割を「システムだけではなく、人々を被害から守ること」と強調した。
講演でホーン氏は、「ロシアに加えて、イランや北朝鮮のサイバースパイ活動の脅威の高まりにも英国は直面している」と述べた。これらの敵対国は、国家の関与を否定しやすくするために、民間人や犯罪組織を手先として使う「グレーゾーン」な活動を展開している。例えば北朝鮮は、第三国のフリーランスITエンジニアを装った工作員を英国企業に侵入させ、北朝鮮政府に資金を流す仕組みを持つ。
NCSCは2024年9月以降、200件を超えるサイバーインシデントに対処している。その中には、「国家的に重要なインシデント」が前年の2倍の件数含まれているという。
ホーン氏は、中国政府が中国企業に対して、国家の情報活動への協力や情報共有を法律で義務付けていることに言及する。これが、英国にとって脅威となりつつあると同氏は指摘する。
「中国政府の法制度やデータに関する戦略を見れば、自国の政治的な目的のためにあらゆるリソースを動員できるのは明らかだ」(ホーン氏)
「中国は『サイバー超大国』となる道を付き進んでおり、人工知能(AI)分野で世界の先頭を走っている」。2025年5月、英ランカスター公領大臣のパット・マクファデン氏は中国をこのように評価した。
マクファデン氏はさらに、英国が中国と経済的に断絶することは現実的ではないとの意見も示す。同氏は次のように述べる。「われわれは中国のサイバー空間へのアプローチを現実的に見る必要がある。経済的な観点から中国と断絶するという選択肢はないが、無警戒でいることも許されない」
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