2025年の世界IT支出は前年比9.8%増の5兆6100億ドルに達する見通しだと、調査会社Gartnerが発表した。しかし、その直接的な原因はユーザー企業の予算が増えたりIT製品の需要が伸びたりしたことではないという。
調査会社Gartnerによると、2025年の世界のIT支出は前年比9.8%増の5兆6100億ドルに達する見通しだ。その主な要因は、IT製品やサービスの需要増に起因するものではなく、ユーザー企業の予算はそれほど増えていないという。
IT支出増加の主な要因は、IT製品やサービスの値上げによるものだ。Gartnerが200人のCIO(最高情報責任者)を対象に実施した調査によると、「2025年にはIT製品やサービスの価格上昇が見込まれる」という見方が目立った。Gartnerのリサーチ・バイスプレジデント、ジョン・デビッド・ラブロック氏は「分野を問わず、価格が上昇すると予測されている」と付け加える。
金融サービス企業Discover Financial ServicesのCIO、ジェイソン・ストゥルル氏も、IT製品やサービスの全体的な価格上昇を指摘している。特にクラウドサービスやオンプレミスソフトウェアなどの値上げが影響を与えていると同氏は説明する。
サーバ、ストレージ、クラウドサービスなどの価格は、2021年に始まったインフレ傾向の中で上昇を続けている。
SaaS(Software as a Service)もその一例だ。SaaS管理ソフトウェアを提供するVertice Technologyによると、2022年には約74%、2023年には約73%のSaaSベンダーが価格を引き上げた。インフレが落ち着いた2024年も、約55%のベンダーが値上げを実施した。
Vertice Technologyの報告によると、2025年1月時点でSaaSベンダーの約58%が値上げを実施することが分かった。同社のCEO兼創業者エルダー・トゥベイ氏は、消費者物価指数のインフレはそこまで問題ではないが、利用料金を値上げするベンダーが増え始めたと述べる。
トゥベイ氏は、ベンダーが自社サービスの競争力を高め、ユーザーの定着率を高めるためにアップグレードや機能追加を積極的に実施し、その結果、価格の上昇を招いている可能性があると指摘する。こうした傾向は、特に人工知能(AI)の分野で著しいという。
IT製品の支出増加には、明るい面もある。ラブロック氏は「価格が上昇している製品の中には、機能を拡張しているものもある」と述べる。同氏は、主力製品に生成AIを活用した機能を追加したベンダーを例に挙げる。
ストゥルル氏も、特にクラウドサービスでの機能追加をメリットに挙げる。クラウドベンダーの顧客は継続的なアップデートの恩恵を受けられる。
一方、データセンターをリースしたり、独自のインフラを有したりしているユーザー企業は、クラウドサービスのユーザー企業と比べて、「イノベーションの差を埋めることが一層困難になる」とストゥルル氏は指摘する。
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