エクソンモービルがデータ基盤に「Snowflake」を選んだ訳Exxon Mobilが考えるデータ活用とDX【中編】

Exxon Mobilでデータ活用を主導する経営幹部のアンドリュー・カリー氏が、全社でデータ活用を促進するために選んだデータ基盤は何だったのか。導入までのプロセスを紹介する。

2024年01月09日 08時00分 公開
[Mark SamuelsTechTarget]

関連キーワード

データ | データ統合 | データ分析 | 経営


 石油大手Exxon Mobilはデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けてさまざまな取り組みを実施している。その中でビジネスにおけるデータ活用を支える、セントラルデータオフィス(Central Data Office)のマネジャーを務めるのがアンドリュー・カリー氏だ。同氏のキャリアにおける最大の出来事は、セントラルデータオフィスの設立だったという。セントラルデータオフィス設立を任された8人のうちの1人が同氏だった。

 現在のセントラルデータオフィスは、Exxon Mobilを支えるグローバルな組織となった。「データ活用の戦略を立案し、データ活用の原則を策定し、それらを遂行する素晴らしい機会を得ている」とカリー氏は語る。

「組織横断のデータ部門」がグローバルな組織になった訳

会員登録(無料)が必要です

 セントラルデータオフィスの設立は「全社規模でデータを活用する上で重要な一歩だった」とカリー氏は話す。セントラルデータオフィスの存在が社内に定着し、業務が拡大するにつれ、Exxon Mobilにおけるデータ戦略は進化した。こうした過程を経て、データ戦略が完全な形になったという。

 この段階に到達したカリー氏は、設立メンバーと共にある決定を下した。全社レベルでのデータ管理、部門間でのデータ共有、アプリケーションや分析におけるデータの使用を目的として、クラウドデータウェアハウス(DWH)ベンダーSnowflakeの同名サービスを導入したのだ。こうしてセントラルデータオフィスは、全社規模で利用できるデータソースを持つことができ、データを技術開発に活用するためのエコシステムを構築できたという。同氏が抱えていた「サイロ化したデータベースを全社向けに統合し、サイロ化を解消する」というミッションは、これで完了した。

 「顧客を理解するための業務は簡潔なものであるべきだ。化学部門、採掘部門、調達部門にはそれぞれ別の顧客データベースを持っている。データのサイロ化(データの分散)が進んだ状態では、ビジネスチャンスがあってもそれを逃してしまう可能性がある」とカリー氏は説明する。

 データを利用しやすいように加工したり、組み合わせたりする「データキュレーション」は実施しない方針だという。セントラルデータオフィスが努力の末に実現したのは、データキュレーションを不要とする「データの一貫性」だ。「セントラルデータオフィスが進めるDXは、Snowflakeを基盤としたデータエコシステムに支えられている」とカリー氏は語る。


 後編は、データ活用を標準化する上でセントラルデータオフィスが実施した取り組みを紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SB C&S株式会社

高機能ストレージ×Hyper-Vで実現する、3Tier構成のアドバンテージ

柔軟性と拡張性に優れた3Tier構成の仮想化基盤が今、再注目されている。その背景には、VMwareのライセンスモデルの変更がある。本資料では、エントリー向け高機能ストレージとHyper-Vを組み合わせた導入手法と運用ノウハウを紹介する。

製品資料 株式会社システナ

PC運用で疲弊する情シスをどう救う? Windows 11移行やAI対応も見据えた解決策

人手不足が深刻化する情報システム部門では、キッティングやトラブル対応など、PCの運用管理に関する業務の負担が高まっている。このような状況を解消し、コア業務に集中できる環境を整備するにはどうすればよいのか。

製品資料 株式会社システナ

AIによる予防保守でトラブル対応も楽に、PC運用を変革する注目のアプローチ

情報システム部門における人材不足が原因で、IT運用管理やセキュリティ対策を適切に実施できていない企業は多い。この課題を解消しつつ、情報システム部門がIT企画のようなコア業務に集中できる体制を構築するには、どうすればよいのか。

製品資料 SBフレームワークス株式会社

物流の輸送力不足を解消、安定した輸送品質と柔軟な車両手配を実現する方法

物流の輸送力が低下したことでさまざまな課題が発生する中、安定した輸送品質と柔軟な車両手配ができる運送パートナーの確保が急務になった。本資料では、首都圏エリアから全国エリアまでの輸配送に対応できるサービスを紹介する。

製品資料 SBフレームワークス株式会社

物流業務を丸ごと委託可能、B2B/B2C問わず対応可能な物流代行サービスとは

物流業務は、多くのビジネスにとって土台となるものだが、コスト・リソースともに負担が大きい。そこで注目したいのが、最短翌日のスピード配送に加え、品質検査やギフト梱包、オリジナルBOX作成などが可能な従量制の物流代行サービスだ。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...