Exxon Mobilでセントラルデータオフィスのマネジャーを務めるアンドリュー・カリー氏は、24年間でIT担当から経営戦略までさまざまな現場を経験し、DXにつながる学びを得たという。その内容とは。
アンドリュー・カリー氏はデータ活用の知見を生かして、石油大手Exxon Mobilでセントラルデータオフィス(Central Data Office)のマネジャーを務めている。この部署は同社にとってどのような役割を果たすのか。カリー氏が入社した経緯と、現在の役職に就くまでの道のりとは。
カリー氏は聖フランシスコザビエル大学(St. Francis Xavier University)でIT分野を専攻し、1999年Exxon Mobilに入社した。入社から2023年までの24年の間に約14種類の業務を経験したという。同氏が勤務するセントラルデータオフィスは同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)をつかさどる部門の一部だ。「私の役割は、他社では最高データ責任者(CDO)と呼ばれる役職に似ている」と同氏は説明する。
カリー氏はカナダの油田採掘を支える海上通信事業に従事した際、ビジネスの仕組みとともに、採掘リグ(海底から天然ガスや石油を掘削するための労働者や機械を収容する、大規模な海洋構造物)を支援するヘリコプターや補給船の動きからさまざまなことを学んだという。「組織横断的な仕事をするうちに、自社の事業はどのようなものなのか、事業がどのように利益を上げているかを理解できるようになった」と同氏は振り返る。
Exxon Mobilが所有する製油所の一つ、ベイタウン製油所(Baytown Refinery)での勤務からも学びを得たという。「私にはITとデータ活用に関する知見がある。だが自社の業務を理解していると自信を持って言えるだろうか、と内省する機会だった」(カリー氏)
カリー氏はグローバルなIT調達施策に携わり、SAP、Microsoft、Dell Technologiesなど大手ベンダーとの間で契約交渉を担った。ITに関する責任者としての経験を積んだことで、データ部門の管理職に昇進することができたといえる。この経験は「ベンダーとの付き合い方や契約交渉の方法など、財務面を学ぶ素晴らしい機会だった」と同氏は述べる。
この過程でカリー氏は、レガシーシステムの管理とクラウドサービス移行、クラウドベースのデータ基盤構築に従事し、上流部門(原油の探鉱や開発、生産までの開発段階)のDXにも携わることになった。「業務の初期から興味深い学びや所見を幾つも得た」と同氏は話す。「再利用可能なデータソースを構築できているか。効果的にデータを収集して、そのデータを再利用できるようにしているか。こうした教訓を、さまざまな場面で学んだ。上流部門におけるDXの経験を持ったことが、セントラルデータオフィスの責任者というポジションにつながった」
中編は、セントラルデータオフィスの役割を全社に定着させるためにカリー氏がどのような取り組みを実施したかを紹介する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新人の早期戦力化を図るためにも効率的かつ効果的な指導・育成が求められるが、この実践には多くの課題が付いて回る。新人育成を取り巻く課題について解説した上で、業務の可視化に焦点を当て、効果的な指導につながるポイントを紹介する。
業務の質とスピードを向上させ、より高い価値創造を実現するため、データ仮想化プラットフォームを導入した東京エレクトロン。保守・運用を支えるパートナー企業と連携し、より高度なデータ活用への挑戦を続けている。
借入金の返済能力を適切に把握することは、利益やキャッシュを生み出す経営に舵を切るなど、経営上の意思決定を下す上で必要な要素だ。返済能力を算出する上で、間違いやすい点を確認しながら、適切な指標について解説する。
老舗企業であるメガネの田中チェーンは、デジタル技術を活用し、多くの課題を抱えていたヘルプデスク業務の変革に着手した。課題を解決するために同社が選定したのは、あるサービスデスクツールだった。本資料で同社の取り組みを紹介する。
2019年にベトナム・オフショア事業を立ち上げたデザインワン・ジャパン。同社は、新規顧客の開拓・獲得に向けIT案件特化型のビジネスマッチングサービスを利用し、新規案件の受注につなげている。本資料では同社の取り組みを紹介する。
2025年の「IT導入補助金」で中堅・中小が導入すべき2つのツール (2025/3/31)
申請業務のシステム化が難しい理由とその解決策とは (2024/9/27)
運用・管理はお任せ 生成AIを安全に活用できるRPAプラットフォーム (2024/5/16)
オンライン研修で情報処理安全確保支援士の取得と維持を支援 (2024/2/1)
セキュリティ対策にDX 情シスが「やりたくてもできない」状況から脱するには? (2024/1/29)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...
「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...