サービスの迅速な市場投入は企業にとって死活問題だが、ただスピーディーに開発を進めるだけでは意味がない。企業がシステム開発の失敗を繰り返さないために忘れてはいけない点とは。
サービスの迅速な市場投入は企業にとって死活問題だが、開発段階で「ある視点」が抜けていると、システムの動作が遅い、使いにくい、トラブルがすぐ発生するといった問題を引き起こしてしまう。失敗するシステム開発には何が足りていないのか。
ホスティングサービスベンダーHyve Managed Hostingの共同創設者でディレクターを務めるジェイク・マダーズ氏は、「システム構築がうまくいかないと悩む顧客の大半は、アプリケーションの規模や同時接続数がどの程度になるかといった点を適切に考慮できていない」と話す。マダーズ氏によれば、システム構築計画には経験豊富な開発者が必要だ。優秀な開発者でも経験が浅ければ、システム全体や同時接続数への影響を考慮できないことがしばしばあるからだ。
ストレージベンダーNetAppで英国およびアイルランド担当のチーフテクノロジストを務めるグラント・ケイリー氏は、システム構築においてはリソースを効果的に活用することが重要だと見ており、その点で開発ツールが問題の原因になる可能性があると指摘する。「使用する開発ツールを選べない場合、開発ツールがパフォーマンスに関する問題を引き起こす可能性があったとしても、開発者はそのツールを使わざるを得ない」(ケイリー氏)
システムの安定稼働には徹底したテストの実施が不可欠だ。ケイリー氏は、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)を実践して、より多くのテスト時間を確保することを勧める。システムやデータを元の状態に戻すロールバック機能を活用することも、テストの並行実施につながるため、開発速度の向上に役立つ。近年人工知能(AI)技術の活用が広がる中で、データセットの量や範囲を拡大することも重要だ。
最低限のソースコードを記述する「ローコード開発」ツールや、ソースコードを記述しない「ノーコード開発」ツールの活用も開発スピードの向上には効果的だ。一方で、「スキルの乏しいチームがアプリケーションをビルドした結果、問題を引き起こす可能性がある」とケイリー氏は指摘する。
後編は、クラウドネイティブシステムの開発に必要な要素について解説する。
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