DXを成功に導く鍵は「従業員」だ。DXを望む従業員も、望まない従業員も巻き込んでDXを進めるために、企業がまず理解しておくべき点を整理する。
「従業員のIT活用のスキルを向上させたい」「業務をデジタル化したい」といった要望を実現するだけでは、「デジタルトランスフォーメーション」(DX)は進まない。DXを通じて何を達成しようとしているのか、技術を使ってそれをどう実現するかを明確にできなければ、希望するゴールにたどり着くことはできない。ITコンサルティング企業Valtechで、欧州北西部担当のマネージングディレクターを務めるクリス・ダプリン氏の話を基に、DXの成功には何が必要なのかを紹介する。
DXの専門家であるダプリン氏は、企業の中でデータのサイロ化(データ同士が連携せずに孤立した状態になること)が起こっている状態では、DXが進みにくいと指摘する。企業の中に存在する既存の組織構造は、部門間の連携を取りにくくする可能性がある。「そのような状態では、DXを誰がどう先導するかが重要になる」(同氏)
ダプリン氏は、DXを進めるためには「DXの人的側面」に取り組む方法を見つけることが不可欠だと説明する。例えば以下のような項目だ。
まずはDXのプロセスを管理するための時間と、具体的な人的リソースを割り当てることが基本だとダプリン氏は説明する。組織全体にDXが浸透するように、経営層が賛同することも重要だという。「人は往々にして自分の知っていることに固執してしまうため、変わろうとするのは簡単ではない。悪気があったり新しいことをやりたくないと思ったりしているのではなく、何をすればよいのか、どうすれば貢献できるのかを理解していないのだ」(同氏)
ITコンサルティング企業Unisysでデジタルワークプレースソリューション担当のグローバルバイスプレジデントであるパトリシャ・ソベラ氏も同じ意見だ。従業員同士がじっくり話をして、自分が何をすればよいのかを明らかにすることが、DXの成否を分ける。「従業員が受け入れない限り、どのようなDXの取り組みも成功しない。だからこそ人的側面が重要だ」(ソベラ氏)
「変化を推進する人」(チェンジチャンピオン)で構成する人的なネットワークを構築することも重要だとソベラ氏は指摘する。能動的な働きをするチェンジチャンピオンの役割は、他の従業員が変化に適応できるよう支援することだ。具体的には、DXで扱う技術やサービスをより身近に感じさせ、使用に当たって生じる恐怖心を取り除くトレーニングを実施する、といった具合だ。
第3回は、DXを進めるに当たっての鍵の一つになる「予算」について考察する。
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