DXに取り組む企業の中には、従業員が一丸となって推進する企業もあれば、さまざまな課題に迫られてそれができない企業もある。DXをひとごとにしないための考え方を整理する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を契機に、企業の「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の取り組みは広がりつつある。一方で、どれだけの企業がDXの取り組みを通じて成果を手にしたのかも気になるところだ。
2023年1月、Microsoftが調査レポート「Four Ways Leaders Can Empower People for How Work Gets Done」を発表した。米国、英国、日本の企業の従業員2700人とビジネスリーダー1800人に対する調査に基づく同レポートによると、従業員の87%は、「DXの推進がこれまで以上に重要」と回答した。一方で、DXの取り組みにおいて「従業員自らが意思決定する立場にある」と答えたのは54%だった。「既存のツールによって管理業務や雑務が増えている」と回答したのは74%にも上った。
DXがうまくいかないという問題は議論され続けてきた。DXの取り組みが従業員の期待に応えられるようになるために、企業は何をすべきなのか。
ITコンサルティング企業Valtechで、欧州北西部担当のマネージングディレクターを務めるクリス・ダプリン氏は、DXの専門家だ。ダプリン氏によると、DXがうまくいかないのは何か1つの問題の結果ではなく、幾つかの要因が絡み合った結果だという。その一つとして、企業のDX戦略をビジネスの戦略や目標と結び付けることに失敗している可能性を同氏は挙げる。
業務やプロセスをデジタル化する「デジタライゼーション」と、デジタル化を通じて企業の文化やビジネスモデルを変革するDXには大きな違いがあるとダプリン氏は指摘する。事業部門がIT部門に来て、「従業員のIT活用のスキルを向上させ、業務をデジタル化したい」と言ったとする。その役割がIT部門にあると見なしているのだとしたら、DXはうまくはいかないというのが同氏の見方だ。成功には、その業務に関する費用対効果や、業務プロセス変更の検討といったビジネスの視点が欠かせないという。
従業員のIT活用のスキル向上や、業務のデジタル化といった取り組みが「価値を創出するための道のり」ではなく「必要悪」や「無駄な経費」と見なされてしまう場合がある。その場合、予算が削減されたり、取り組みに付与された優先順位が変わり、後回しにされてしまったりする可能性があるとダプリン氏は付け加える。
第2回は、企業の従業員が一丸となってDXに取り組むには何を重視すればよいか、従業員の多様な考え方から検討する。
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