DXを進める企業が見失ってしまう“システムのある性質”とは?地球に優しいネットワークを作る【第3回】

データ処理の負担が増大しつつある中で、企業はDXを進める上でのさまざまな課題に迫られている。経営層や事業部門とIT部門の課題に対する認識は食い違っている。

2023年08月18日 05時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

関連キーワード

データ通信 | IT投資 | ネットワーク


 コンサルティング会社Arthur D. Littleによれば、個人や家庭のデータ使用量は欧州全土で増加傾向にある。増大するデータをどう処理するかは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める企業にとっても無視できない問題だ。企業のIT部門は、ネットワークの最適化を踏まえてDXに取り組む必要がある。

 企業がDXに取り組むに当たってのもう一つの問題になるのが、企業内の経営層や事業部門と、IT部門との間に、認識の食い違いがあることだ。

DXを阻む真犯人

 企業内の経営層と事業部門の認識と、IT部門の認識の違いは、以前から論じられている。ネットワーク機器ベンダーのRiverbed Technologyは「Rethink Possible: Visibility and Network Performance - The Pillars of Business Success」と題するレポートを2020年に公開し、その実態をまとめている。

会員登録(無料)が必要です

 Riverbedのレポートは、英国、ドイツ、スイス、フランス、オランダ、中東の経営幹部や事業部門の意思決定者、IT部門の意思決定者の計1726人を対象に調査した結果をまとめたものだ。約86%が「自社の成長にはITシステムのパフォーマンスがますます重要になる」と考え、約84%は「長期的な成功を収める上では顧客のデジタルエクスペリエンス(デジタル技術を使ったサービスの体験価値)の強化が不可欠になる」と考えている。

 一方で、企業が思うようにDXを起こせていない現実もある。新しい技術を用いたシステムを導入する際にIT部門が直面する課題といえば、以前は新システムの改善点や実装方法に関する事項だった。だが近年、企業は新システムの保守方法に頭を悩ませており、創造性や革新性が失われている。

 DXのプロジェクトが遅れ、想定外の課題が発生している──。そう感じている企業の経営幹部に理由を尋ねたところ、最も多い理由は「IT部門の知識と応用性の欠如」で48%だった。2番目は「変化に対する従業員の抵抗」で47%だった。

 IT部門の意思決定者に同様の質問をぶつけたところ、1番目の理由は「新システムとレガシーシステムの統合に問題がある」で50%、次いで「変化に対する事業部門の抵抗」が41%だった。

 Riverbedは、IT部門が新システムの保守にばかり関心を寄せるような状態が習慣化すると、創造的イノベーションが損なわれると指摘する。デジタル技術が競争上の優位性に欠かせない時代に、創造性を低下させる選択は避けるべきだと警告する。


 第4回はRiverbedの調査結果を基に、ITインフラの可視化についての現状を紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 NTTドコモビジネス株式会社

5つの事例に学ぶ、多店舗ビジネスにおけるネットワーク運用課題の解消方法

多店舗展開を行う企業では、ネットワークの構成や運用ルールが店舗ごとに異なるケースが多く、管理の煩雑さや故障発生時の対応遅延などの課題を抱えがちだ。このような課題の解決策を、5つの事例から探る。

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

出社したのに接続できず遅刻? インターネット回線のトラブルをなくすには

「出社しているのに業務クラウドに接続できず打刻ができない」「オンライン会議が落ちてしまう」など、インターネット回線に関するトラブルは今も後を絶たない。そこで注目したいのが、法人向けに設計された高速インターネットサービスだ。

事例 NTTドコモビジネス株式会社

通信回線の逼迫をどう乗り越えた? 建設現場におけるネットワーク最適化事例

建設現場では、データの大容量化に伴う通信回線の逼迫が業務の障壁となるケースが増えている。本資料では、ネットワークの再構築により通信環境を最適化し、意思決定の迅速化や安全対策の高度化を実現した企業の事例を紹介する。

事例 NTTドコモビジネス株式会社

OS更新時の帯域逼迫とセキュリティ課題を解消、事例に学ぶネットワーク刷新術

セキュリティ対策に不可欠なWindows Updateだが、複数店舗・拠点を構える企業では回線が逼迫する要因であり、業務の停滞につながる大きな問題だ。あるアパレル小売チェーンの事例から、ネットワークの抜本的な改善策を紹介したい。

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

IT人材がいなくても大丈夫、工事不要で高速なWi-Fi環境を構築する方法

Wi-Fi環境は、業務の効率化や柔軟な働き方を支える重要な存在だ。しかし、従来の固定回線型Wi-Fiには、工事の手間や設置の制約といった課題がつきまとう。そこで注目したいのが、工事不要で導入できるWi-Fi製品だ。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...