テレワークの普及により、データの発生場所が分散し、ネットワークの負荷はますます強大になっている。インターネットサービスプロパイダー(ISP)業界ではある“常識”が逆転し、発想の転換を迫られている。
コンサルティング会社Arthur D. Littleの調査レポート「The evolution of data growth in Europe」は、欧州全土で個人や家庭のデータ消費量が増加することを予測している。1家庭当たりの固定回線でのデータ使用量は、2022年では1カ月当たり225GBだったが、年間成長率を20%として、2030年には1カ月当たり900GBにまで増える見込みだ。データの処理には電力が必要になる。地球規模でデータ処理の負荷が増大しているため、今や環境問題にもつながっている。
通信事業者向けのネットワーク管理サービスを提供するOpenVaultは、インターネットサービスプロパイダー(ISP)業界の調査レポート「OpenVault Broadband Insights Report」を四半期ごとに公開している。同レポートは、ISP業界では今まで“常識”とされていたことを覆す結果を示していた。
2023年第1四半期のOpenVault Broadband Insights Reportが示した重要な調査結果の一つは、従量制プラン加入者のデータ使用量が定額制プラン加入者の使用量と初めて同等以上になったことだ。従量制プラン加入者のデータ使用量は、月間で平均値562.7GB、中央値382.0GBを記録。定額制プラン加入者の平均値555.5GB、中央値371.1GBをわずかに上回った。
これまでISPにとって、従量制プランを利用しているユーザーは、定額制プランを利用するユーザーに比べて処理するデータが少なく、ネットワーク設備への負荷が低い存在だと見なされてきた。
しかし、その常識が崩れた今、見方を改めるべきだ。「ネットワークの輻輳(ふくそう)を軽減するための新しいツールを模索する必要がある」と同レポートは主張する。
第3回ではデータ処理の負荷が強大になる中で、経営層とIT管理者の間で起きている認識のずれについて紹介する。
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