ISP業界の「あの常識」が“逆転” ネットワーク事業者が投資を強化すべきITインフラは?地球に優しいネットワークを作る【第2回】

テレワークの普及により、データの発生場所が分散し、ネットワークの負荷はますます強大になっている。インターネットサービスプロパイダー(ISP)業界ではある“常識”が逆転し、発想の転換を迫られている。

2023年08月11日 05時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

関連キーワード

データ通信 | IT投資 | ネットワーク


 コンサルティング会社Arthur D. Littleの調査レポート「The evolution of data growth in Europe」は、欧州全土で個人や家庭のデータ消費量が増加することを予測している。1家庭当たりの固定回線でのデータ使用量は、2022年では1カ月当たり225GBだったが、年間成長率を20%として、2030年には1カ月当たり900GBにまで増える見込みだ。データの処理には電力が必要になる。地球規模でデータ処理の負荷が増大しているため、今や環境問題にもつながっている。

 通信事業者向けのネットワーク管理サービスを提供するOpenVaultは、インターネットサービスプロパイダー(ISP)業界の調査レポート「OpenVault Broadband Insights Report」を四半期ごとに公開している。同レポートは、ISP業界では今まで“常識”とされていたことを覆す結果を示していた。

「従量制 vs. 定額制」論争の常識を覆したデータとは

 2023年第1四半期のOpenVault Broadband Insights Reportが示した重要な調査結果の一つは、従量制プラン加入者のデータ使用量が定額制プラン加入者の使用量と初めて同等以上になったことだ。従量制プラン加入者のデータ使用量は、月間で平均値562.7GB、中央値382.0GBを記録。定額制プラン加入者の平均値555.5GB、中央値371.1GBをわずかに上回った。

 これまでISPにとって、従量制プランを利用しているユーザーは、定額制プランを利用するユーザーに比べて処理するデータが少なく、ネットワーク設備への負荷が低い存在だと見なされてきた。

 しかし、その常識が崩れた今、見方を改めるべきだ。「ネットワークの輻輳(ふくそう)を軽減するための新しいツールを模索する必要がある」と同レポートは主張する。


 第3回ではデータ処理の負荷が強大になる中で、経営層とIT管理者の間で起きている認識のずれについて紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

従来のSD-WANでは運用負荷が問題、アプリのパフォーマンスをどう高める?

分散環境におけるアプリケーションのパフォーマンスを高めることは多くの企業で課題となっているが、従来のSD-WANによるアプリケーションの識別/回線振り分けは、運用負荷の高さが課題だった。これを解決する、次世代のアプローチとは?

市場調査・トレンド 株式会社インターネットイニシアティブ

ネットワーク担当者への調査で知る、店舗・拠点におけるネットワーク起因の課題

多店舗/多拠点企業のネットワーク担当者216人を対象とした調査により、「SaaSへのアクセスなどネットワーク利用に不便なことや制限が多い」などの課題が浮き彫りになった。これらの課題を解消し、再構築を成功に導く方法を探る。

製品資料 株式会社インターネットイニシアティブ

電子決済のエラーで営業に支障、多店舗/多拠点企業ネットワークのあるある課題

複数の店舗や拠点を擁する企業にとって、電子決済の通信エラー、本部と拠点の間でのWeb会議品質の低下といったネットワーク課題は、事業運営に深刻な問題をもたらしかねない。よくある8つの問題と、その解決策を探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化したネットワークシステム、クラウド並みのアジリティを確保するには?

顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させるとともに、インベーションを促進するには「アジリティ」の強化が鍵となる。しかし昨今、組織のネットワークは複雑化が著しく、アジリティの確保すら難しい。そこで求められるのが「簡素化」だ。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ISP業界の「あの常識」が“逆転” ネットワーク事業者が投資を強化すべきITインフラは?:地球に優しいネットワークを作る【第2回】 - TechTargetジャパン ネットワーク 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。