サイバー脅威の進化が高速化するにつれ、従来の方法では十分な対策が難しくなっている。そこで活躍が期待できるのが人工知能(AI)技術を組み込んだツールだ。金融機関、教育機関ではどう役立つのか。
人工知能(AI)技術を活用したマルウェア検出ツールは、多様な業界にメリットをもたらす。具体的にはどのような利点があるのか。今回は金融機関と教育機関の活用例を紹介する。
金融機関と教育機関がAI技術を組み込んだマルウェア検出ツールを扱うメリットは、それぞれ以下の通りだ。
金融機関は、財務情報や個人情報といった機密データを保持していることから、サイバー攻撃の標的になりやすい。そのためAI技術を組み込んだツールでマルウェアを迅速に検出することが重要だ。
AI技術を組み込んだマルウェア検出ツールをセキュリティ対策に取り入れる金融機関は少なくない。金融情報サイト「Young and the Invested」によると、銀行や金融サービス企業の中には、サイバー攻撃に対する懸念から機械学習(ML)関連技術に割く予算を増額した企業が一定数存在する。
他にも金融機関には、クレジット産業向けの国際的なデータセキュリティ基準「Payment Card Industry Data Security Standard」(PCI DSS)や、欧州連合(EU)の「一般データ保護規則」(GDPR)などの法令を順守する必要がある。AI技術を用いたマルウェア検出ツールは、法令違反による罰金を回避するのに役立つ。
AI技術を利用したツールを使用することで、フィッシング攻撃やアカウントの乗っ取り、決済詐欺といった不正行為の検出も可能だ。これにより、個人情報の流出や経済的損失を防ぐことができる。
学術活動や業務管理、コミュニケーションなどを目的に、教育機関はデバイスやネットワークを日常的に利用している。こうしたITインフラをサイバー攻撃から守り、業務を円滑に機能させるために、AI技術を利用するツールが役に立つ。
教育機関は、学業成績などの個人情報や財務情報などの機密情報を保持している。このようなデータをサイバー攻撃や不正アクセスから保護しなければならない。
学習者のプライバシーを保護するため、教育機関はFERPA(家庭教育の権利とプライバシーに関する法)やCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)などの規制を順守する必要がある。こうしたコンプライアンス要件を満たし、罰金を科される事態を避けるためにも、AI技術を利用するマルウェア検出ツールは効果的だ。
第7回は、非営利団体(NPO)の活用例を紹介する。
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