人工知能(AI)技術の一つである機械学習は、従来手法では検出が難しいマルウェアの検出精度を高めることができる。機械学習で強化可能な3つのマルウェア検出機能を紹介する。
マルウェアの高度化により、従来のマルウェア対策ソフトウェアや人による検出が難しいマルウェアが登場してきた。そこで活躍が期待できるのが、人工知能(AI)技術の一つである機械学習(ML)だ。機械学習を用いて膨大な量のデータを分析することで、マルウェアの検出が可能になる。具体的にどのようなマルウェア検出機能があるのか。
機械学習を活用することで精度の向上が期待できるマルウェア検出機能として、主に次の3つがある。
機械学習のアルゴリズムがマルウェアの振る舞いを分析することで、マルウェアの挙動と一致するパターンをより正確に特定できるようになる。例えば以下の挙動を検出可能だ。
シグネチャベースは、既知の攻撃パターンをあらかじめ登録しておき、パターンに一致する通信を検出して攻撃を発見する方法だ。機械学習のアルゴリズムは、既知のマルウェアのシグネチャを分析し、分析結果を用いて類似のマルウェアを特定できる。
エンドユーザーが普段使わないファイルなどのリソースにアクセスを試みるマルウェアなど、不審な挙動や異常な挙動もシグネチャベースの検出で特定可能だ。既知のマルウェアの亜種で未発見のものやゼロデイ攻撃、シグネチャを登録していない未知のマルウェアなどを検出する際は、シグネチャベースのマルウェア検出機能が役に立つ。ゼロデイ攻撃は、ベンダーが対策を公開していない脆弱(ぜいじゃく)性を悪用する攻撃を指す。
機械学習のアルゴリズムは、サイズや種類といったファイルの特性と動作を基に、不審なファイルと無害のファイルを分類する。これはマルウェア検出の高速化やセキュリティ担当者の作業負荷軽減につながる。
第5回は、AI技術を活用したマルウェア対策の事例を業種ごとに解説する。
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