米国政府は新組織「DOGE」を設立し、費用削減に取り組んでいる。こうしたDOGEの活動はセキュリティにどのような影響を与えるのか。セキュリティ専門家の見解をまとめた。
米国大統領ドナルド・トランプ氏が立ち上げた組織「DOGE」(Department of Government Efficiency:政府効率化省)は、政府の支出を見直し、コスト削減を進めることを目指している。DOGEの取り組みがセキュリティに与える影響については、セキュリティ専門家の間でも意見が分かれている。DOGEはリスクなのか、それともチャンスになるのか。
DOGEは米国の自治体に対し、組織の再編や人員削減を通じた行政の効率化を促している。フロリダ州やニューヨーク州など米国各地では具体策の実施が進みつつある。DOGEの影響は民間企業にも及んでいる。コンサルティング企業Deloitte Touche Tohmatsu(Deloitte)は米国政府からコンサルティング契約の打ち切りを受け、人員削減を余儀なくされた。
こうした中で問題視されているのがセキュリティへの影響だ。セキュリティの専門家はDOGEの推進する解雇や人員整理によってセキュリティの高度な知識を持っている人が減り、米国政府の各システムを十分に保護できなくなる可能性があると指摘する。米国の政府機関を狙ったランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃が猛威を振るっている情勢下で、セキュリティのコストを削減すれば国家の安全保障に悪影響を及ぼしかねないという声もある。
DOGEがセキュリティに与える影響については専門家の見解が分かれている。以下でセキュリティ専門家の主な主張を整理してみよう。
セキュリティ関連の分析事業を手掛けるIT-Harvestの主席リサーチアナリスト、リチャード・スティーネン氏はDOGEの取り組みがセキュリティリスクを高めることに強い懸念を示している。同氏が指摘するのは、組織再編によって機密情報へのアクセス件が必要以上に広がってしまう問題だ。スティーネン氏によると、アクセス制限が不十分だと、将来的に機密情報が不正に利用されるリスクが高まる恐れがある。
法律事務所Buchanan Ingersoll & Rooneyのサイバーセキュリティとデータプライバシーのグループを率いるマイケル・マクラフリン氏は、DOGEには利点もあるとみている。同氏は効率化によって、米国のサイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)がセキュリティ関連の調査や報告といった本来の業務に集中できるようになり、結果としてセキュリティの強化につながる可能性があると説明する。
ミシガン州で最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めた経験を持つダン・ロールマン氏は、効率化によるメリットは大きいと主張する。同氏によれば、業務を一元化して効率化を進めることで組織のミッションが明確になり、より高度なセキュリティ体制が構築しやすくなる。
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