「AI」でどう防ぐ? 政府や医療機関を狙うサイバー攻撃に“一歩先”の対策マルウェア対策としてのAI【第5回】

人工知能(AI)技術を用いたセキュリティ対策は、多様な業界のセキュリティ対策に有効だ。具体的にはどのようなメリットをもたらすのか。業界別に紹介する。

2023年08月08日 05時15分 公開
[Isla SibandaTechTarget]

 あらゆる企業が、マルウェア攻撃をはじめとするサイバー脅威にさらされている。特に近年目立つのが、従来のマルウェア対策ソフトウェアやファイアウォールといったセキュリティ対策を回避する、高度なマルウェアの登場だ。高度なマルウェアの検出や分析には、人工知能(AI)技術を利用したツールが役立つ。

政府や医療機関で活躍するAIツールは?

 マルウェアの検出や分析にAI技術を使うことで、どのようなメリットがあるのか。業界ごとの具体例は次の通りだ。

会員登録(無料)が必要です

活用例1.政府機関

 政府機関はさまざまな機密情報を保持する他、電力事業や水道事業、輸送といった重要インフラに関する情報を扱う。そのためサイバー攻撃の標的になることが少なくない。AI技術を利用したツールを使用することで、機密データや重要インフラだけではなく、物理的損傷や混乱を引き起こす可能性があるサイバー攻撃からシステムを保護するのに役立つ。

 政府機関はしばしば以下の規制を順守することが必要になる。AIツールを使用することで、これらの規制への準拠を容易にすることができる。

  • HIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)
  • FISMA(連邦情報セキュリティマネジメント法)
  • 米国標準技術研究所(NIST)

活用例2.医療機関

 インターネットに接続する医療機器が普及したことで、医療機関はよりサイバー攻撃にさらされやすくなった。医療機関は医療機器やソフトウェアの中に、医療記録や個人情報といった患者の機密データを保持している。

 このようなマルウェア攻撃の標的になりやすいデータをサイバー攻撃や不正アクセスから保護するためには、AI技術を用いたマルウェア検出ツールが役に立つ。他にもHIPAAへのコンプライアンス準拠をAIツールで支援することで、準拠していない場合の罰金を回避できる可能性がある。CX(顧客体験価値)ソフトウェアベンダーのWeave Communicationsによると、ほとんどの歯科医療従事者が「患者への優れた医療体験の提供にはITが重要な役割を果たす」と考えている。


 第6回は、金融機関と教育機関の活用例を紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 NTTデータルウィーブ株式会社

失敗しないSASE導入のポイント、“シングルベンダー”がよい理由とは?

ネットワークとセキュリティの機能を一体化したフレームワーク「SASE」が注目されている。一方で、SASEはさまざまな機能で構成されるため、高評価のツールを組み合わせることが多いが、これが後悔の種になることもあるという。

市場調査・トレンド NTTデータルウィーブ株式会社

SASEの導入をためらう理由は? 調査で見えた課題と解決策

近年、SASE(Secure Access Service Edge)への注目度が高まっているが、その導入は決して容易ではない。そこで、ネットワークおよびセキュリティ、そしてSASEの導入・運用にまつわる課題を明らかにするため調査を実施した。

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

内部統制を強化してセキュリティリスクを低減、特権ID管理のベストプラクティス

内部統制強化のため、企業には、システム化による評価プロセスや、システム運用の効率化などが求められている。その解決策の一例となる特権ID管理ツールについて、その機能や導入によって回避可能なセキュリティリスクを解説する。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウドセキュリティ運用の課題、増え続けるアラートの優先度を最適化するには

クラウドセキュリティ運用の大きな課題になっているのが、増え続けるセキュリティアラートに優先度を設定することだ。各環境によって最重要課題は異なるため、環境に合わせて優先度を設定することが必要になる。その実現方法とは?

製品資料 BLACKPANDA JAPAN株式会社

サプライチェーン攻撃から組織を守る、攻撃サーフェスの防御を強化する方法

サイバーセキュリティではまず、攻撃サーフェスへの対策が重要だが、近年はリモートワークやクラウドの普及により、攻撃サーフェスも拡大している。しかも、サプライチェーン攻撃の増加により、中小企業でも対策は待ったなしの状況だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。